天平文化(読み)てんぴょうぶんか

  • てんぴょうぶんか テンピャウブンクヮ
  • てんぴょうぶんか〔テンピヤウブンクワ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

奈良の都を中心に栄えた8世紀の貴族文化。聖武天皇のときが最盛期で,天平 (729~749年) はその時期の年号に由来する。文化を介して遠く西域,インドペルシアなど世界各地の文化を受容し,新羅 (しらぎ) や渤海 (ぼっかい) との往来も行なわれた。舶載された宝物正倉院に保管されている。国家の保護下に南都六宗が栄え,各地に国分寺が創建され,本格的な仏教文化が開花した。特に古典的写実主義とされる天平彫刻には多くの傑作がある。貴族の教養として漢詩・文も重んじられたが,なお和歌が日本人の日常的な表現手段として盛んで,多くの万葉歌人が活躍した。

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大辞林 第三版の解説

奈良時代、天平年間を中心に栄えた文化。律令国家の充実を背景にした貴族文化で、唐文化の影響を強く受けて発達し、国際的性格と鎮護国家思想による仏教的性格を大きな特色とする。彫像を中心とするすぐれた仏教美術を生んだ。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 天平年間(七二九‐七四九)、聖武天皇(在位七二四‐七四九)を中心に展開された貴族文化。盛唐の影響が強く、仏教美術の黄金時代で、金銅像・木像のほか塑像・乾漆像が製作される。東大寺法華堂の諸仏、戒壇院の四天王像がとくに有名。工芸では正倉院御物に国際性に富んだすぐれた作品がみられる。歴史書として「古事記」「日本書紀」、地誌として「風土記」、文学として「万葉集」「懐風藻」がある。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

奈良時代,聖武天皇の天平年間(729〜749)を中心に栄えた仏教的な貴族文化
律令国家の繁栄と唐文化の影響のもとにはなやかな文化が展開したが,貴族中心であり,仏教的色彩が強いところに特色がある。鎮護国家の思想による東大寺・国分寺の建立や大規模な写経事業はこの時代の仏教文化のあり方をよく示している。国家的事業として記紀や『風土記』が編纂され,日本文学史上の民族的遺産である『万葉集』,漢詩集の『懐風藻』も成立した。また正倉院宝物にみられる美術工芸品は世界史的な背景をもっている。仏像彫刻は日本彫刻史における名作ぞろいであるが,なかでも東大寺三月堂の『日光・月光菩薩像』『不空羂索 (ふくうけんじやく) 観音像』,同寺戒壇院の『四天王像』などが有名である。

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世界大百科事典内の天平文化の言及

【奈良時代】より

…たとえば最初の銭貨として鋳造された和同開珎が,蓄銭叙位令などで流通を奨励されたにもかかわらず,貨幣経済の基盤が未成熟であったため,その利用範囲が畿内をあまり出なかったという事実や,班田収授法の基礎として公地公民を標榜しながら,人口増加に伴う田地不足を解消するため開墾を奨励した三世一身法(723)や墾田永年私財法(743)が,やがて大寺院や貴族・豪族の大土地私有を誘発して荘園を成立させ,土地制度の根底をゆるがすようになった事実などは,その一例である。
[文化]
 奈良時代の文化はその頂点をなす聖武朝の年号によって〈天平文化〉ともよばれる。その特色は,まず平城京で華やかな生活を送る大宮人中心の貴族的文化であること,つぎに遣唐使らによって将来された盛唐文化の影響を強く受け,国際性豊かな文化であること,そして鎮護国家の教法として国家の保護を受け,国分寺,東大寺などを建立した仏教中心の文化であることであろう。…

※「天平文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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