白鳳文化(読み)ハクホウブンカ

デジタル大辞泉 「白鳳文化」の意味・読み・例文・類語

はくほう‐ぶんか〔‐ブンクワ〕【白×鳳文化】

白鳳時代の文化。との交通により、その影響を受けた仏教美術にすぐれた作品が多い。薬師寺東塔薬師三尊像法隆寺金堂壁画などがその代表。また、国史編纂が開始され、漢詩和歌なども盛んとなった。

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百科事典マイペディア 「白鳳文化」の意味・わかりやすい解説

白鳳文化【はくほうぶんか】

飛鳥文化と天平文化の中間,律令国家建設期の文化。初唐文化の影響を受けて清新で躍動的な風があり,次の天平文化に続くものとして両者を一括して奈良文化とする捉えかたもある。中国都城制を模倣した宮都造営が藤原京で完成。仏教はそれまでの私的な信仰から国家仏教としての性格を強め,官立の大寺も創建されて造寺・造仏が激増,仏教芸術は前代に比して著しく発達した優品を生み出した。代表的建築は薬師寺東塔で,彫像では優れた鋳造技術をうかがわせる薬師寺本尊などの金銅仏や,新技法の塑像・【せん】仏(せんぶつ)・乾漆像が登場,絵画には大陸文化の影響が顕著な法隆寺金堂壁画・高松塚古墳壁画などがある。また文芸面では貴族社会における漢詩文隆盛や,柿本人麻呂ら宮廷歌人による和歌の芸術的発展があった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「白鳳文化」の解説

白鳳文化
はくほうぶんか

7世紀後半を中心とする時期の文化。飛鳥文化と天平文化の間の時期を対象とする美術史の時代区分による。ただし法隆寺西院伽藍における飛鳥様式の存在,薬師寺の東塔・金堂薬師三尊像の成立年代の理解などにより白鳳文化の理解はかわる。7世紀後半には,朝鮮諸国を媒介にうけついだ中国の六朝(りくちょう)文化と朝鮮諸国の文化を基礎とした飛鳥文化のうえに,7世紀前半から摂取を始めた隋・初唐の文化が展開した。この時期には,律令法摂取の試みに現れるような国家制度の整備が進められ,法隆寺・川原寺・大官大寺などの寺院,前期難波宮・飛鳥浄御原宮(きよみはらのみや)・藤原宮などの宮都が造立された。法隆寺西院伽藍の建築,法隆寺の伝橘夫人念持仏・同厨子(ずし),夢違(ゆめちがい)観音像,法隆寺金堂壁画高松塚古墳壁画などの美術工芸品が残る。「古事記」「日本書紀」の述作の開始,「懐風藻」に採録された漢詩,柿本人麻呂らの和歌など文学作品もうみだされるようになった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白鳳文化」の意味・わかりやすい解説

白鳳文化
はくほうぶんか

白鳳時代の文化。前半は飛鳥文化の影響を受けながらも,従来の大陸伝来そのままであったものを日本的に消化し,独特な明るさと清新な気風とが感じられる。後半は初唐美術の影響を受け,天平文化の始りがうかがわれる。この時代の代表的な作品は彫刻では薬師寺の金堂薬師三尊,東院堂聖観音像など,建築では同寺東塔など,絵画では法隆寺金堂壁画は火災で失われたが,高松塚古墳で発見された彩色壁画は,この時期の優秀な絵画であるとともに大陸の影響の強さを示している。文学では『万葉集』にみえる柿本人麻呂がこの時代を代表する歌人である。

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旺文社日本史事典 三訂版 「白鳳文化」の解説

白鳳文化
はくほうぶんか

645年大化の改新から710年平城京遷都までの文化
白鳳は天武天皇の年号というが不明。初唐の影響をうけ清新潑剌の趣がある。薬師寺東塔,同寺金堂の『薬師三尊像』,同寺東院堂の『聖観音像』,法隆寺五重塔・金堂とその壁画,大友皇子以下の漢詩,柿本人麻呂 (かきのもとのひとまろ) ・山部赤人 (やまべのあかひと) などの万葉歌人の和歌などは,この文化の代表的なものである。国際的背景としては、後年になると唐を通じてインドのグプタ文化の波及がうかがえる。

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世界大百科事典(旧版)内の白鳳文化の言及

【飛鳥時代】より

…また仏教だけでなく,儒教・道教の思想や,天文・暦法,あるいは讖緯(しんい)説なども盛行した。この飛鳥文化に対して,後期の天武・持統朝を中心とする文化を白鳳文化とよぶ。やはり仏教文化が中心であるが,遣隋使・遣唐使の派遣によって直接中国文化を摂取する道が開かれ,初唐文化の影響が全般に強く認められる。…

※「白鳳文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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