デジタル大辞泉
「如何に」の意味・読み・例文・類語
いか‐に【如=何に】
[副]
1 状態などについての疑問を表す。どのように。どんなふうに。「人間、如何に生くべきか」「彼の運命や如何に」
2 程度などについて推量する気持ちを表す。どれほど。どんなに。「如何に大きな打撃を受けたか誰にもわかるまい」
3 (あとに「ても」などの語を伴って)逆接の意味を強める。どんなに。「如何に苦しくてもがんばる」
4 原因・理由などについての疑問を表す。なぜ。どうして。
「―思ひ始めける事にか」〈更級〉
5 反語を表す。どうして…か。
「―かかる所にはおはしまさむずる」〈堤・はいずみ〉
[感]人に呼びかけるときに用いる語。おい。もしもし。
「―、祇王御前、ともかうも御返事を申せかし」〈平家・一〉
[類語]どういう・どんな・どのよう・どう・いかが・いかよう・いかな・いかなる・いかん
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いか‐に【如何に】
- [ 1 ] 〘 副詞 〙
- ① 物事の状態、様子、作用などを疑問に思い、ためらったり問いかけたりする意を表わす。
- (イ) ( 文中に用いて ) どう。どのように。どんなふうに。
- [初出の実例]「韓国(からくに)を 以柯儞(イカニ)言(ふ)ことそ 目頬子来たる」(出典:日本書紀(720)継体二四年・歌謡)
- 「世のありさまもなほいかになり果つべきにか」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
- (ロ) ( あとを省略し、文末に用いて ) どうか。どんなか。どうしたのか。どうだろうか。どうしようか。
- [初出の実例]「相見ずてけ長くなりぬこの頃は奈何(いかに)幸(さき)くやいぶかし吾妹」(出典:万葉集(8C後)四・六四八)
- ② 物事の原因、理由、方法などを疑問に思い、聞きただしたりする意を表わす。
- (イ) ( 文中に用いて ) なぜに。どのように。どういうわけで。どうして。
- [初出の実例]「いかにの給へるならんと歎けば」(出典:落窪物語(10C後)二)
- (ロ) ( 文末に用いて ) なぜか。どういうわけか。どうしてだろうか。
- [初出の実例]「待ちつる甲斐なく、いかにと申しければ」(出典:山家集(12C後)下)
- ③ 結論がわかっている場合、反語の意を表わす。どのように…か。どうして…か(そんなはずはない。できない)。
- [初出の実例]「かくかたき事をばいかに申さん」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ④ 限度がわからないくらいにと、強調し詠嘆する意を表わす。
- (イ) ( 多く後に推量の表現を伴って ) 程度や状態のはなはだしさを推測していう。どんなに。どれほど。
- [初出の実例]「ながからぬ命のほどに忘るるはいかに短き心なるらん」(出典:伊勢物語(10C前)一一三)
- (ロ) ( 後に逆接の語を伴って ) はなはだしく逆接的な前提条件であることを表わす。どれほど。いくら。なんぼ。
- [初出の実例]「我が恋は蓋身かはれる玉櫛笥(たまくしげ)いかにすれどもあふかたぞなき〈よみ人しらず〉」(出典:詞花和歌集(1151頃)恋上・二二六)
- ⑤ 驚き呆れる気持、意外感、感動などを表わす。「こはいかに」
- (イ) ( 文中に用いて ) なんと。なんとまあ。
- [初出の実例]「ながらへてあらぬまでにも事の葉のふかきはいかにあはれなりけり〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋一・六〇〇)
- (ロ) ( 文末に用いて ) なんということだ。どうだろうね。
- [初出の実例]「武家のちりあくたとかくべき様はいかに」(出典:平家物語(13C前)七)
- ⑥ わからない、または表現しにくい状態を、そのまま不定の状態として表わす。引用文中に用い、間接話法の性質が強い。どうこう。
- [初出の実例]「いかになり給にきとか人にもいひ侍らん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
- [ 2 ] 〘 感動詞 〙 相手に呼びかけることば。なんと。もし。これこれ。
- [初出の実例]「浪高し奈何(いかに)楫取り水鳥の浮寝やすべきなほや漕ぐべき」(出典:万葉集(8C後)七・一二三五)
如何にの語誌
本来、「いかなり」の連用形。状態や理由についての疑問を表わす[ 一 ]が、基本的な用法。[ 二 ]は、相手の状態を尋ねる疑問表現としての用法が、形式的に拡大されて、呼びかけに転用されたもの。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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