デジタル大辞泉
「如何様」の意味・読み・例文・類語
いか‐さま【如=何様】
[名・形動]いかにも本当らしく見せかけること。また、そのさまや、そのもの。いんちき。「如何様をやる」「如何様ばくち」
「随分―な人物だと」〈宙外・独行〉
[副]
1 自分の考えがまちがっていないはずだ、という気持ちを表す。確かに。本当に。
「―思い返して見れば、二度とああ云う蘭たけた人に出遇えるかどうか分からないけれども」〈谷崎・少将滋幹の母〉
2 どんな事情があっても事を成し遂げたいという、強い意志を表す。何としてでも。ぜひとも。
「―取りて帰り、古き人にも見せ、家の宝となさばや」〈謡・羽衣〉
[形動ナリ]事物の状態や方法などについて疑問があるさま。どのよう。どんな。
「我―なるわざをせんと、涙を流しつつおぼしわぶるに」〈浜松・一〉
[感]相手の言ったことを肯定するときに発する語。なるほど。
「―、…定めて汝が行くであらう」〈虎寛狂・素襖落〉
[類語]不正・不当・邪・横様・いんちき・非・模造・偽造・偽作・贋作・贋造・代作・変造・複製・作り物・偽物・紛い物・食わせ物・擬古・コピー・イミテーション・レプリカ・フェイク
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
いか‐さま【如何様】
[1] 〘形動〙 状態、方法などについて疑問の意を表わす。どのよう。どんな
ふう。
※
万葉(8C後)二・一六七「何方
(いかさま)に 思ほしめせか つれもなき
真弓の岡に 宮柱 太敷きいまし」
※
源氏(1001‐14頃)
夕顔「この女君、いみじくわななき惑ひて、いかさまにせむと思へり」
[2] 〘副〙 (「いかさまにも」の略から)
① 自分の考えや
叙述、
推測などのたしかさを表わす語。きっと。たしかに。どう見ても。てっきり。
※高野本
平家(13C前)一「いかさま是は祇といふ文字を名について、かくはめでたきやらむ」
※虎明本狂言・
青海苔(室町末‐近世初)「いかさま、是は平家の公達ぞと思ひ、押双て無手とくむ」
② 意志の強さを表わす語。ぜひとも。なんとしても。
※光悦本謡曲・羽衣(1548頃)「常の衣にあらず、いか様とりて帰り古き人にも見せ、家のたからとなさばやと」
[3] 〘感動〙 相手の意見を肯定して感動的に応答することば。いかにも。そのとおり。ほんとに。なるほど。ごもっとも。
※
曾我物語(南北朝頃)三「さりとも、きらるるまでは有まじ。誰々も、
よきやうに申なしたまはば、いかさま、とほき国にながしおかれぬとおぼえたり」
※虎寛本狂言・素襖落(室町末‐近世初)「『定て汝が行くで有う』『いか様
(さま)、
誰彼といふて外に人も御ざらぬに依て〈略〉』」
[4] 〘名〙 いかにも本当らしく見せかけたもの。似せたもの。ごまかし。いんちき。〔
和玉篇(15C後)〕
※
談義本・風流志道軒伝(1763)四「いかさま国となんいへる所に至れば此国の人寄集
(よりあつまり)、舟に乗りて」
いか‐よう ‥ヤウ【如何様】
〘名〙 (形動)
① 物事の状態、程度、方法などを疑い問う意を表わす。いかなるさま。どのよう。どんなこと。どのくらい。どれほど。
※竹取(9C末‐10C初)「抑(そもそも)、いかやうなる心ざしあらん人にか、あはんとおぼす」
※滑稽本・七偏人(1857‐63)四「行燈の燈(どん)とは何様(イカヤウ)な燈だ」
② 物事の状態、程度などのはなはだしさを強調する意を表わす。どのよう。どれほど。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「あなおほけな。又いかやうに限りなき
御心ならむ」
③ 物事の状態を不定のままにいう。どういうさま。どのよう。
※
今昔(1120頃か)
二九「何様
(いかやう)にても
我が子は被噉
(くらはれ)なむずるにこそ有けれ」
いかが‐さま【如何様】
〘形動〙 (「さま」は
接尾語。「いかが(一)③」をていねいにいう語) どのようなご様子。どんなおかげん。また、
商品などをていねいにすすめる語。「ご病状はいかがさまですか」
※落語・素人人力(1893)〈三代目三遊亭円遊〉「『モシ親方ァ車は如何様(イカガサマ)で』『小哥(わっち)は車を挽て居るんだ』」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報