(読み)キ

デジタル大辞泉 「姫」の意味・読み・例文・類語

き【姫】[漢字項目]

常用漢字] [音]キ(呉)(漢) [訓]ひめ
〈キ〉
貴人のめかけ。「寵姫ちょうき
美女婦人美称。「美姫妖姫ようき
〈ひめ〉「姫君歌姫乙姫おとひめ織姫舞姫佐保姫さほひめ

ひめ【姫/媛】

[名]
女子の美称。「歌」「乙」⇔
貴人の娘。姫君。
近世上方で、遊女のこと。
[接頭]物の名に付いて、小さくてかわいらしいものであることを表す。「百合」「鏡台」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「姫」の意味・読み・例文・類語

ひ‐め【姫・媛】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 女性の美称。古代では「彦(ひこ)」に対して女性一般を表わし、特に、人名に付けて呼ぶことが多く、また、他の語に付いて女性であることを表わすのに用いる。「衣通姫(そとおりひめ)」「姫神」「舞姫」「姫遊(ひめなそび)」など。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    2. 平安時代以降、貴人の娘をさしていう。
      1. [初出の実例]「此の母みこは昔名高かりけるひめ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
    3. 近世上方で、遊女をさしていう。〔浪花聞書(1819頃)〕
    4. ひめのり(姫糊)[ 一 ]」の略。
      1. [初出の実例]「姫をこわきにかい込んで糊やのり」(出典:雑俳・柳多留‐五一(1811))
  2. [ 2 ] 〘 接頭語 〙 物の名に付けて、それが小さくて、やさしい感じのするもの、かわいらしいものであることを表わす。「ひめゆり」「ひめ小松」「ひめ鏡台」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「姫」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)
9画

[字音]
[字訓] ひめ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
旧字はに作り、(い)+女。乳房の形。女のく形に乳房をそえ、成人した婦人を示す。〔説文〕十二下に「水に居り、以て姓と爲す」という。卜文にみえる女部の字は大半は姓とみてよい。(彦)は、男子の成人のとき、その額に文身を加える加入儀礼を示す。も、女子の成人の際における、何らかの儀礼を示す字かと思われる。授乳の形をといい、和熙の意がある。

[訓義]
1. ひめ、むすめ、成人した女。
2. きさき、つま、妾。
3. 女官
4. 姓。周は姫姓。
5. 居と通じ、いる。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕 比女(ひめ)〔名義抄 ヒメ立〕 ヒメキミ

[語系]
金文に女の字としてがあり、kiは同声。また妃phiuiも声の近い字である。

[熟語]
姫漢姫姜姫侍姫妾姫昌姫娘・姫人姫傅・姫
[下接語]
愛姫・艶姫・王姫・歌姫・貴姫・呉姫・幸姫・姫・侍姫・淑姫・仙姫・姫・美姫・舞姫・曼姫・名姫・妖姫・麗姫

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「姫」の意味・わかりやすい解説


ひめ

女性の美称で、彦(ひこ)の対。上代では単独で用いて女性一般を表したり、「木花開耶姫(このはなさくやひめ)」のように下につけたりして用いられた。平安時代以後、貴人の娘をさしていうようになり、江戸時代の上方(かみがた)では遊女をさしたこともある。また、小さくてかわいらしく優しい感じであることを表す接頭語として、「ひめゆり」「ひめつばき」「ひめかがみ」などと用いられた。語源は「日女(ひめ)」で、「ひ」は美称とされる。

[藁科勝之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【ヒメ・ヒコ制】より

…古代国家成立以前の兄弟姉妹(姫と彦)による二重支配体制をいう。血縁紐帯を基軸とした氏族社会で,同母の兄弟と姉妹は特に深く結ばれていた。…

※「姫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android