婆娑羅(読み)バサラ

  • ばしゃら
  • 婆×娑羅

デジタル大辞泉の解説

[名・形動ナリ]
遠慮なく、勝手に振る舞うこと。また、そのさま。放逸。放恣(ほうし)。
「大酒遊宴に長じ、分に過ぎたる―を好み」〈北条九代記・八〉
はでに見えを張ること。また、そのさま。
「一族若党共、例の―に風流を尽くして」〈太平記・二一〉
[名・形動ナリ]ばさら(婆娑羅)」の音変化。
「今やう―の女と見ゆ」〈去来抄修行

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大辞林 第三版の解説

ばしゃら ばしゃれとも
華美な衣装などで飾り立てたり、ぜいたくの限りをつくしたりして、この世を謳歌すること。鎌倉幕府の滅亡後流行した風潮。 道誉が一族若党共、例の-に風流を尽して/太平記 21

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

婆沙羅・婆佐羅などとも表記する。南北朝内乱期にみられる顕著な風潮で、華美な服装で飾りたてた伊達(だて)な風体や、はでで勝手気ままな遠慮のない、常識はずれのふるまい、またはそのようすを表す。また珍奇な品物などをも意味する。サンスクリット語のvajraバジラ(金剛・伐折羅(ばざら))から転訛(てんか)したことばといわれる。「建武(けんむ)式目」のなかでは「近日婆佐羅と号して、専ら過差(かさ)を好み、綾羅錦繍(りょうらきんしゅう)・精好(せいごう)銀剣・風流(ふりゅう)服飾、目を驚かさざるなし、頗(すこぶ)る物狂(ぶっきょう)と謂(い)ふべきか」といわれ、過差=奢侈(しゃし)が、「物狂」といわれるほど異常な形で現れることを「婆佐羅」と表現している。また『太平記』では「佐々木佐渡判官入道導(道)誉ガ一族若党共、例ノバサラニ風流ヲ尽シテ」などとあり、伝統的価値観を食い破って現れてくる社会の風潮が語られている。なお、二条河原落書(にじょうがわららくしょ)にみえる「ハサラ扇ノ五骨(いつつぼね)」とは、骨数の少ない扇面に粗放、はでな風流絵を施したものをいう。ばさらの風体や行動をもって名をとどろかせた佐々木高氏(導誉)・土岐頼遠(ときよりとお)は、南北朝期の時代精神を体現したものとして「ばさら大名」とよばれる。[新井孝重]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (形動)
① みえをはって派手にふるまうこと。おごりたかぶって贅沢であること。形式・常識から逸脱して、奔放で人目をひくようなふるまいをすること。また、そのさまやそのような行ない。
※建武式目(1336)一条「近日号婆佐羅、専好過差、綾羅錦繍、精好銀剣、風流服飾、無目」
※太平記(14C後)二一「佐々木佐渡判官入道々誉が一族若党共、例のばさらに風流を尽して」
② 音楽・舞楽で、本式の拍子からはずれて、技が目立つようにする自由な形式。また、そのような音楽・舞楽のさま。
※続教訓鈔(14C前か)「下臈の笛ともなく、ばさらありて仕るものかな」
〘名〙 (形動) =ばさら(婆娑羅)
※俳諧・去来抄(1702‐04)修行「おしろいをぬれど下地が黒い㒵 役者もやうの袖の薫もの 前句、今やうばしゃらの女と見ゆ」

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