デジタル大辞泉
「桂」の意味・読み・例文・類語
かつら【×桂】
1 カツラ科の落葉高木。山地に自生。葉は広卵形で裏面が白い。雌雄異株。5月ごろ、紅色の雄花、淡紅色の雌花をつけ、花びらはない。材を建築・家具や碁盤・将棋盤などに用いる。おかつら。かもかつら。
2 中国の伝説で、月の世界にあるという木。
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かつら【桂】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① カツラ科の落葉大高木。日本の各地と中国の山地に生える。高さ二五メートル、径一・五メートルをこえるものもある。樹皮は暗灰色で縦に裂け目がある。葉は長さ二~二・五センチメートルの細い柄をもち、長枝には対生し短枝には単生する。葉身は長さ幅とも三~七センチメートルの心臓形で、縁に鈍い鋸歯(きょし)があり、裏面は粉白色。雌雄異株。春、葉に先だって花被のない花を葉腋(ようえき)に単生。雄花は紅色の葯(やく)をつけたおしべ多数から成り、雌花は三~五個のめしべをもち柱頭は糸状で淡紅色を帯びる。花後、短柄のある、やや湾曲した円柱形果実を結ぶ。熟すと紫褐色となって裂け、一端に翼のある長さ五ミリメートルほどの種子をとばす。材は軽く柔らかく、木目(きめ)がまっすぐで変形が少ないので、建築・家具・彫刻材などに用いられる。本州の中・北部には、日本特産の、葉が大形で、種子の両端に翼があり、樹皮は老木となるまで裂けないヒロハカツラが産する。かもかつら。しろかつら。かつらぎ。
- [初出の実例]「傍の井の上に湯津香木有らむ。〈略〉〈香木を訓みて加都良と云ふ。木ぞ〉」(出典:古事記(712)上)
- 「大きなるかつらの木の追ひ風に、祭の頃おぼし出でられて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)花散里)
- ② 中国伝説で、月の世界に生えているという木。→桂男(かつらおとこ)。
- [初出の実例]「目には見て手にはとらえぬ月の中の楓(かつら)のごとき妹をいかにせむ」(出典:万葉集(8C後)四・六三二)
- 「久方の月の桂も秋は猶もみぢすればやてりまさるらむ〈壬生忠岑〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・一九四)
- ③ 桂むきにした生大根を丸めて切り、糸状にしたもの。刺身のつまなどに用いる。
- ④ 植物「にっけい(肉桂)」また「けいひ(桂皮)」の異名。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
桂の補助注記
「十巻本和名抄‐一〇」では「桂」を「めかつら」、「楓」を「をかつら」とよむ。
- [ 2 ] 京都市西京区東部、桂川西岸の地名。桂離宮がある。
- [初出の実例]「かつらにみるべきことはべるをいさや心にもあらでほどへにけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)松風)
けい【桂】
- 〘 名詞 〙
- ① クスノキ科の常緑高木。中国南部やインドシナなどで栽培される。幹は高さ一五メートルほどになる。葉は革質の長卵円形で長さ七~一〇センチメートル、裏面は粉白色を帯びる。花は帯黄色。樹皮を桂皮といい、芳香があり、調味料、健胃・脱臭剤などとし、また香料に用いる油を採る。とんきんにっけい。
- ② カツラ、モクセイ、ニッケイ、クス、ゲッケイジュなどの総称。特にニッケイの慣用漢名に用いる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
- ③ 「けいま(桂馬)①」の略。
- [初出の実例]「其歩(ふ)を捨て桂(ケイ)を上った方が宜(いい)ぜ」(出典:明治浮世風呂(1887)〈浮世粋史〉一三)
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普及版 字通
「桂」の読み・字形・画数・意味
桂
人名用漢字 10画
[字音] ケイ
[字訓] かつら
[説文解字]
[字形] 形声
声符は圭(けい)。〔説文〕六上に「江南の木、百の長なり」とあり、〔本草〕に桂心や菌桂の名がみえる。江南の文学である〔楚辞〕に、桂を歌うものが多い。
[訓義]
1. かつら、香木。
2. 国語では、かつら(落葉喬木)、くす(楠)。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕桂 女加良(めかづら)〔名義抄〕桂 カツラ・メカヅラ
[熟語]
桂▶・桂苑▶・桂園▶・桂花▶・桂科▶・桂華▶・桂海▶・桂冠▶・桂宮▶・桂▶・桂玉▶・桂窟▶・桂馨▶・桂月▶・桂子▶・桂芝▶・桂枝▶・桂車▶・桂酒▶・桂樹▶・桂楫▶・桂秋▶・桂▶・桂女▶・桂漿▶・桂椒▶・桂橈▶・桂心▶・桂寝▶・桂▶・桂石▶・桂席▶・桂戚▶・桂籍▶・桂折▶・桂叢▶・桂尊▶・桂庭▶・桂殿▶・桂▶・桂棟▶・桂棹▶・桂櫂▶・桂堂▶・桂魄▶・桂皮▶・桂粉▶・桂圃▶・桂林▶・桂輪▶
[下接語]
金桂・銀桂・月桂・折桂・蟾桂・肉桂・芳桂・蘭桂
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桂【かつら】
京都市西京区の桂川右岸の地名。当地には古代〜中世を通じ,桂御厨(かつらのみくりや),桂殿(かつらどの),上桂荘,下桂荘など多くの荘園が成立,貴紳の別荘も営まれた。また《古今和歌集》以下数々の歌集に桂里(かつらのさと)を詠んだ歌があり,《宇津保物語》や《源氏物語》の舞台ともなっている。なお歌は,月世界には桂の大木があるという中国の伝説に関連して,月の桂を詠むものが多い。桂御厨からは,鵜飼い漁法によって獲った鮎・鮒等の川魚を朝廷に貢進していた。これらに従事する人々は〈桂贄人〉とよばれ(12世紀以降は桂供御人),漁業のほか桂川の渡船業一般にも従事していた。鵜飼漁法は南北朝期より衰退していったようで,桂供御人の名は史料から消える。しかし以後も鵜飼による桂川の魚とりは細々と続けられたようで,桂供御人と同じ集団に属していたとみられる桂女(かつらめ)の活動が史料にみられるようになる。15―16世紀には桂女が毎年鮎鮨樽を紀州日根荘や奈良興福寺に持参した記録がある。桂女はまた権門の宴席に侍り,寿詞・歌舞を捧げ,併せて遊女の役割も担うようになっていった。近世には集団を飾る伝説が生じ,元祖を岩田姫とし,神功皇后の侍女として皇后着用の綿帽子なるものを家に伝え,権家に出入して安産を祝い,年頭や八朔(はっさく)には堂上公家(どうじょうくげ)に飴を献ずる習俗があった。→桂離宮
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桂 (かつら)
guì
中国では,ニッケイ(肉桂)あるいはモクセイ(木犀),また月にあると考えられた木。日本のカツラやゲッケイジュとは別物。桂については《山海経(せんがいきよう)》や《荘子》など先秦の書物にも記事があり,珍しい木,香辛料の木とされ,時代が下ると《本草》をはじめ諸書に,薬用植物として,牡桂,菌桂,木桂,肉桂など多様に表出される。これらが現在の何に当たるかは大半不明だが,漢の武帝が未央(びおう)宮の北に桂宮を作ったように,桂が高貴,良い香りを象徴したことはまちがいない。一方,《淮南子(えなんじ)》にさかのぼって,月の中に桂の木と蟾蜍(ひきがえる)がいるという民話が普遍化し,唐の段成式の《酉陽雑俎(ゆうようざつそ)》には,500丈の桂を呉剛という男が切ろうとするが切口はすぐにふさがるという話をのせる。桂蟾(けいせん),桂宮(けいきゆう)といった熟語は月の文学表現として頻用され,桂月,桂樹などの名号,桂園一枝,折桂などの言葉もこれと関係する。唐・宋以後,江南の開発にともない,桂はこの地方に多いモクセイを指す場合が多くなる。桂林,桂陽の地名もモクセイにちなむ。
執筆者:梅原 郁
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桂(茨城県)
かつら
茨城県中北部、東茨城郡にあった旧村名(桂村(むら))。現在は東茨城郡城里町(しろさとまち)の北部を占める地域。旧桂村は1955年(昭和30)圷(あくつ)、岩船(いわふね)、沢山(さわやま)の3村が合併して成立。2005年(平成17)同郡常北町(じょうほくまち)、西茨城郡七会村(ななかいむら)と合併、城里町となった。旧村名は村域を流れる桂川による。旧村域は八溝(やみぞ)山地の一部をなす山地、丘陵地と、那珂(なか)川沿岸沖積地からなる。国道123号が通る。農業が中心で葉タバコ、加工用トウガラシ、シイタケの産が多い。粟野春慶塗(あわのしゅんけいぬり)があり重箱など生活用漆器が主で、その技術は国選択無形文化財となっている。錫高野(すずこうや)には江戸時代の錫鉱山跡がある。御前山(ごぜんやま)県立自然公園の一部。
[櫻井明俊]
『『桂村郷土誌』(1978・桂村)』
桂(京都市)
かつら
京都市南西部、西京区の桂川西岸の地区。桂は古地名の葛野(かつらの)に由来するといわれ、平安時代から貴紳の別業が営まれ、歌枕(うたまくら)にも「桂里(かつらのさと)」と詠まれた。桂川に接して江戸時代に桂宮(かつらのみや)(八条宮)家の別荘として造営され、建築と庭園に優れた桂離宮がある。阪急電鉄京都線と嵐山(あらしやま)線の分岐点として交通の便に恵まれ、宅地化が進む一方、洛南(らくなん)工業地域の一部として、工場の進出もみられる。
[織田武雄]
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桂
かつら
茨城県中北部,城里町北東部の旧村域。那珂川流域にある。 1955年圷 (あくつ) 村,岩船村,沢山村の3村が合体して桂村が成立。 2005年常北町,七会村と合体して城里町となった。半分以上が八溝山地で,那珂川沿いに水田が,丘陵地に畑地が広がる。御前山県立自然公園に属する。
桂
かつら
京都市西京区の一地区。旧村名。 1931年京都市に編入。桂川右岸にあり,国道9号線が通じる。米作のほか,近郊野菜園芸が行われるが,都市化,宅地化も進んでいる。桂川河岸に桂離宮がある。かつてはアユや飴を売り歩く桂女で知られた。
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桂 (カツラ)
学名:Cercidiphyllum japonicum
植物。カツラ科の落葉大高木,園芸植物
桂 (カツラ)
植物。キンポウゲ科の多年草,園芸植物,薬用植物。オキナグサの別称
桂 (カツラ)
植物。クスノキ科の常緑高木,園芸植物,薬用植物。ニッケイの別称
桂 (ケイ・カツラ)
桂 (カツラ)
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報