子代(読み)コシロ

デジタル大辞泉 「子代」の意味・読み・例文・類語

こ‐しろ【子代】

大化の改新以前の皇室の私有民。天皇皇子のために設置したものといわれるが、実体未詳。→名代なしろ

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精選版 日本国語大辞典 「子代」の意味・読み・例文・類語

こ‐しろ【子代】

  1. 〘 名詞 〙 大化前代に、王族が管理を任された部民。「古事記」「日本書紀」では天皇に子がないとき、天皇の名を残すために設置したと伝える。国造(くにのみやつこ)一族やその民を指定して、上番させて使役したり、租税を貢納させたりする。王族に対して舎人(とねり)靫負(ゆげい)膳部(かしわで)などの職掌に奉仕した。みこしろ。→名代(なしろ)。〔古事記(712)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「子代」の意味・わかりやすい解説

子代
こしろ

大化以前の皇室の私有民。古くは,天皇に皇子がないときに,その名を部曲 (かきべ) の人民に負わせて後代に伝えるために設けられたものであるとされたが,最近では,天皇が皇子,皇女のために設けた部民とする説が有力である。そのなかに皇子,皇女の養育の費用を負担する農民から成る壬生部 (みぶべ) ,御膳のことを司る膳部 (かしわでべ) ,殿舎などを警固する舎人部 (とねりべ) ,靫負部 (ゆげいべ) などがあった。膳部以下は,国造 (くにのみやつこ) の一族が都に上って奉仕するものである。これらの部民は大化2 (646) 年の改新の詔で,子代の民の廃止が宣言され,公民となった。 (→名代 )

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百科事典マイペディア 「子代」の意味・わかりやすい解説

子代【こしろ】

大化前代の皇室の私有民。伝承では御子(みこ)がないために代りに設置された部民(べみん)という。御子代部(みこしろべ)。大和朝廷支配下の国造(くにのみやつこ)の民を割いて設置されたといわれる。→名代
→関連項目

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改訂新版 世界大百科事典 「子代」の意味・わかりやすい解説

子代 (こしろ)

名代・子代(なしろこしろ)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「子代」の解説

子代
こしろ

名代・子代(なしろ・こしろ)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「子代」の解説

子代 (コノシロ)

学名:Clupanodon punctatus
動物。ニシン科の海水魚

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「子代」の意味・わかりやすい解説

子代
こしろ

名代・子代

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世界大百科事典(旧版)内の子代の言及

【名代・子代】より

…いずれも部民で,その性格には共通性があるが,両者の区分はかならずしも明らかでない。《古事記》《日本書紀》では,〈子代〉を〈子〉がないため,その〈代りに〉置いたものとするが,〈代(しろ)〉とは名目あるものの実体・客体をさすことばで,〈子のために〉設定されたものとする方がよく,この点では宮の名を負う名代もおなじであろう。 記紀の伝承をみると,品遅部(ほむちべ)=垂仁天皇皇子誉津別(ほむつわけ)命,伊登志部(いとしべ)=垂仁天皇皇子伊登志別(いとしわけ)王,武部(たけるべ)=景行天皇皇子日本武(やまとたける)尊,葛城部(かつらぎべ)=仁徳天皇皇后磐之媛(いわのひめ)(葛城氏出身),軽部(かるべ)=允恭天皇太子木梨軽(きなしかる)皇子,刑部(おさかべ)=允恭天皇皇后忍坂大中姫(おさかおおなかつひめ),穴穂部(孔王部)(あなほべ)=允恭天皇皇子穴穂(あなほ)皇子などの例が記録される。…

【部民】より

…このように下部組織を形成する伴や部を〈トモ〉ともいい〈ベ〉ともいうのは,百済の官司の諸部の制度を輸入して朝廷の政治組織を革新したとき,朝廷の記録をつかさどっていた百済の帰化人=史部(ふひと∥ふひとべ)が,本国の習慣に従い,漢語の〈部〉とその字音の〈ベ〉を,日本の〈伴〉の制度に適用したために生じたとみるのが正しいであろう。 さらに,このような官司制を統轄した臣・連・伴造らの畿内貴族は,その経済的基盤として,部曲・民部(かきべ∥かきのたみ)の領有を公認され,天皇・后妃・皇子もおのおのの宮の経営や子女の養育の資として,名代・子代(なしろこしろ)を設定した。これらの部民は各地域の農民集団をさし,地方の国造(くにのみやつこ)にひきいられ,主家に力役や貢納の義務を負ったが,名代はさらに国造の一族から舎人(とねり),采女(うねめ)などを天皇・后妃の近侍者として差し出す慣習があった。…

※「子代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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