宇城(市)(読み)うき

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宇城(市)
うき

熊本県中部にある市。2005年(平成17)宇土(うと)郡三角(みすみ)町、不知火(しらぬひ)町、下益城(しもましき)郡松橋(まつばせ)町、小川町、豊野町が合併、市制施行して成立。なお、この合併により、行政単位としての宇土郡はなくなった。市域は、島原湾と八代海(やつしろかい)(不知火海とも称する)を分ける宇土半島の南部と豊田分丘山地、八代平野に広がり、大野川、砂川(住吉川)、小熊野川(浜戸(はまど)川)などが流れる。宇土半島の南西端、八代海に浮かぶ戸馳島(とばせじま)(戸馳大橋で半島と結ばれる)も含まれる。JR鹿児島本線、三角線、国道3号、57号、218号、266号が通じ、九州自動車道の松橋インターチェンジがある。
 農業は半島地域、平野部、東部の山間地域といった変化に富んだ自然条件を生かし、稲作のほか、野菜、花卉(かき)などの施設園芸や多様な果樹の栽培が主体。柑橘(かんきつ)類、トマト、メロンのほか、イチゴ、キュウリ、ナスなどがつくられる。また、蓮根(れんこん)、イグサ、葉タバコなどの栽培も行われる。水産業ではクルマエビ、ノリの養殖などが盛んである。農業産出額186億3000万円(2005)。工業は事業所(従業者4人以上)数113、製造品出荷額1073億7000万円(2005)。商業は、店舗数881、年間販売額891億5500万円(2004)となっている。
 史跡・観光地としては、小田良(おだら)古墳(国史跡)、装飾古墳(桂原(かずわら)古墳)、宇土藩主細川興文(おきのり)の別荘蕉夢庵(しょうむあん)、一切経刻版で名高い鉄眼の出生寺として知られる三宝(さんぽう)寺、元寇(げんこう)時に活躍した竹崎季長(たけざきすえなが)の居城の竹崎城跡、龍驤館(りゅうじょうかん)(武道場)、九州海技学院(旧、宇土郡役所)などがある。また、江戸時代に築かれた石橋が多く残る地域としても有名。宇土半島の北西端に位置する三角西(旧)港は、1887年(明治20)明治政府の殖産振興政策に基づき建設された近代的港湾で、明治の三大築港の一つに数えられる。設計は招聘オランダ人技師ルーエンホルスト・ムルドル。築港時の形態をとどめる石積埠頭や水路は国の重要文化財に指定される。八代海に八朔(はっさく)(旧暦8月1日)の深夜に現れる奇現象の火は「不知火(しらぬい)」と崇(あが)められている。萩尾溜池(はぎおためいけ)は、県下最大の面積を誇る灌漑(かんがい)用溜池。面積188.56平方キロメートル、人口6万1878(2010)。[編集部]
〔世界遺産の登録〕2015年(平成27)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として、三角西(旧)港が世界遺産の文化遺産に登録された。[編集部]

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