宇太水分神社(読み)うだのみくまりじんじや

日本歴史地名大系 「宇太水分神社」の解説

宇太水分神社
うだのみくまりじんじや

[現在地名]菟田野町大字古市場

芳野ほうの川東岸に鎮座祭神速秋津比古はやあきつひこ神・天水分あめのみくまり神・国水分くにのみくまり神。旧県社。「延喜式」神名帳の宇陀うだ郡に「宇太水分神社大、月次新嘗」とあるが、同郡内には当社のほかに現菟田野町上芳野かみほうの惣社水分そうしやみくまり神社、現大宇陀平尾ひらおに水分神社、現榛原町下井足しもいだにに宇太水分神社、現室生村下田口しもたぐちに水分神社が鎮座する。また現菟田野町見田みたの春日神社鎮座地を水分山という。式内宇太水分神社は大和四水分神の一で(延喜式)、大同元年(八〇六)には大和国に神封一戸を寄せられ(新抄格勅符抄)、承和七年(八四〇)一〇月七日に従五位下(続日本後紀)、天安三年(八五九)一月二七日に正五位下となり(三代実録)、同年(貞観元年)九月八日に風雨祈願のための奉幣を受けている(同書)

永禄三年(一五六〇)書写の玉岡水分縁起(大和志料)によると、当社は玉岡水分たまおかみくまり神社とも称し、玉岡水分大明神は水門神速秋津彦みなとのかみはやあきつひこ神の第五子で、垂仁天皇時代に伊勢神宮の神職玉造村尾が神託に任せて御裳濯みもすそ川の水を分けて水分神体とし、大和の宇陀郡社殿を構えて当社を本社と定め、井谷いだに(井足)中山なかやま(上芳野)の社を摂社、田口(下田口)と平尾の社を末社としたという。


宇太水分神社
うだのみくまりじんじや

[現在地名]榛原町大字下井足

芳野ほうの川と宇陀うだ川の合流点に近い水分山に鎮座。祭神天水分あめのみくまり神・国水分くにのみくまり神・天児屋根あめのこやね命・品陀別ほんだわけ命。旧県社。「延喜式」神名帳の宇陀郡に「宇太水分神社大、月次新嘗」がみえ、宇陀郡内にはほかに現菟田野町古市場ふるいちばに宇太水分神社、同町上芳野かみほうの惣社水分そうしやみくまり神社、大宇陀町平尾ひらおと室生村下田口しもたぐちに水分神社が鎮座し、菟田野町見田みたの春日神社鎮座地を水分山という。「大和志」「大和名所図会」「神祇志料」などは当社をもって式内社とし、「古事記伝」には「此社今世下井足と云ふにあり萩原と近隣なれば地もよく叶へり」とあり、墨坂神の後身と考証している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「宇太水分神社」の解説

宇太水分神社

奈良県宇陀市にある神社。「うだのみくまりじんじゃ」と読む。第10代崇神天皇の時代の創祀とされる。祭神は天水分神(あまのみくまりのかみ)、速秋津彦命(はやあきつひこのみこと)、国水分神(くにのみくまりのかみ)。本殿国宝指定

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇太水分神社」の意味・わかりやすい解説

宇太水分神社
うだみくまりじんじゃ

奈良県宇陀市にある神社。流水分配を司る水分神をまつり,3殿よりなる。元応2 (1320) 年の造立。隅木入春日造最古の例で装飾的細部特色。本殿は国宝。

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世界大百科事典(旧版)内の宇太水分神社の言及

【水分神】より

…《古事記》には〈天之水分神〉〈国之水分神〉として見えている。《延喜式》神名帳には,大和国(奈良県)に葛木(かつらぎ)水分神社,吉野水分神社,宇太(うだ)水分神社,都祁(つげ)水分神社が,河内国(大阪府)に建(たけ)水分神社,摂津国住吉郡(大阪府)に天水分豊浦命神社が記載されている。《延喜式》によると神祇官が執行する四時祭の祈年(としごい)祭と月次(つきなみ)祭や臨時祭の祈雨神祭(きうしんさい)には,大和国の葛木,吉野,宇太,都祁の四つの水分神社に奉幣や馬の奉納があった。…

※「宇太水分神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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