寝覚の床(読み)ネザメノトコ

デジタル大辞泉 「寝覚の床」の意味・読み・例文・類語

ねざめのとこ【寝覚の床】

長野県南西部の木曽川景勝地木曽上松あげまつ町にある。浸食によって花崗岩柱状節理絶壁となり、多数甌穴おうけつもある。

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精選版 日本国語大辞典 「寝覚の床」の意味・読み・例文・類語

ねざめ【寝覚】 の 床(とこ)

  1. 眠りからさめて、そのまま臥している寝床
    1. [初出の実例]「とも千鳥もろごゑになくあか月はひとりねさめのとこもたのもし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)

ねざめのとこ【寝覚ノ床】

  1. 長野県木曾郡上松町にある木曾川の峡谷。花崗岩の白い柱状節理と水蝕地形の景観で知られる。浦島太郎伝説がある。国名勝

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日本歴史地名大系 「寝覚の床」の解説

寝覚ノ床
ねざめのとこ

[現在地名]上松町大字上松 寝覚

古くから木曾街道随一の景勝地として広く知られてきたところで、木曾川の激流が長い間に浸食してでき上がった奇勝である。花崗岩の方状節理と各所にみられる甌穴は日本でも代表的なものとされている。その形からとこ岩・獅子しし岩・屏風びようぶ岩・烏帽子えぼし岩・ぞう岩・腰掛こしかけ岩などと名付けられ、また甌穴のある大釜おおがま・小釜などの奇岩からできている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寝覚の床」の意味・わかりやすい解説

寝覚の床
ねざめのとこ

長野県南西部、木曽(きそ)郡上松町(あげまつまち)にある木曽川の景勝地。国指定名勝で、周辺の地域一帯は中央アルプス国定公園に指定されている。木曽川が花崗(かこう)岩の柱状・方状節理に沿って侵食し、深い淵(ふち)をつくる。床(とこ)岩、屏風(びょうぶ)岩、腰掛岩などの岩々や、水の侵食でできた大釜(おおがま)・小釜の甌穴(おうけつ)などがあり、積み木細工のような白い岩、木曽川の清流、周囲の樹木が調和して庭園的な景観をみせる。浦島太郎の伝説があり、竜宮から帰った浦島太郎がこの地に住み着いたが、ある日玉手箱を開いたところたちまち翁(おきな)になり、どこかへ立ち去ったという。地元では竜宮城が寝覚の床の下にあるといい、崖(がけ)上には浦島太郎が残したという弁財天を祀(まつ)る臨川寺(りんせんじ)がある。JR中央本線上松駅・木曽福島駅からコミュニティバスの便があり、また中央本線の車窓からも見える。

[小林寛義]

『市川健夫著『木曽川』(1973・信濃路)』


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改訂新版 世界大百科事典 「寝覚の床」の意味・わかりやすい解説

寝覚ノ床 (ねざめのとこ)

長野県木曾郡上松(あげまつ)町にある木曾川上流の景勝地(名)。花コウ岩の方状節理に沿って木曾川が浸食し,屛風岩などの奇岩や大釜,小釜などの甌穴(おうけつ)がある。川幅の狭いところは7mぐらいで,水は巨岩にあたってしぶきを上げて流れる。松の緑と白い岩,エメラルド色の流れは木曾路随一の景として古来有名で,浦島太郎の竜宮城はこの下にあるという伝説もある。東岸段丘上の臨川寺からの展望がよい。中央本線上松駅の南2km。
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百科事典マイペディア 「寝覚の床」の意味・わかりやすい解説

寝覚ノ床【ねざめのとこ】

長野県上松(あげまつ)町,木曾川上流の峡谷(名勝)。1.5kmにわたり花コウ岩節理が浸食されて奇岩や深淵を呈する。古くから木曾街道随一の景勝地として知られ,謡曲《寝覚》のほか,1590年当地を通った《東国陣道記》に〈ねさめの床〉とみえる。河岸に臨川寺がある。
→関連項目上松[町]甌穴

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寝覚の床」の意味・わかりやすい解説

寝覚ノ床
ねざめノとこ

長野県南西部,木曾川の上流部にある峡谷。上松町に属する。木曾川が浸食した深い淵と花崗岩の垂直水平節理に区切られた奇岩に富み,観光地となっている。浦島伝説がある。名勝に指定。

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事典・日本の観光資源 「寝覚の床」の解説

寝覚の床

(長野県木曽郡上松町)
信州の名水・水辺百選」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の寝覚の床の言及

【甌穴】より

…甌穴が成長するにつれて深さも増すので,とびこんだ石も丸みを増し,穴の外へ出られなくなる。日本では花コウ岩の河床上に発達した木曾川の寝覚(ねざめ)ノ床の甌穴,片岩類の河床上に発達した荒川の長瀞(ながとろ)などが有名である。海岸にできる甌穴は海食甌穴とよぶこともある。…

※「寝覚の床」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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