石川県中南部、能美郡(のみぐん)にあった旧町名(寺井町(まち))。現在は能美市の南西部を占める地域。1956年(昭和31)寺井野町、粟生(あお)村、吉田・久常(ひさつね)両村の一部が合併して成立。2005年(平成17)能美郡根上(ねあがり)町、辰口(たつのくち)町と合併して市制施行、能美市となった。国道8号が通じる。金沢平野の一部を占め、北部を手取川が西流する。秋常山古墳群(あきつねやまこふんぐん)、和田山・末寺山古墳群(わだやままつじやまこふんぐん)(ともに国指定史跡)など古墳が多い。近世には粟生、寺井は北陸道の宿駅で、粟生は手取川の渡船場でもあった。幕末には九谷焼(くたにやき)の産地となり、明治時代にはその輸出で栄えた。九谷焼は国の伝統的工芸品に指定された。九谷焼の約70%を生産し、5月3~5日は九谷茶碗(ちゃわん)まつりが行われる。佐野・湯谷(ゆのたに)地区に建設された九谷陶芸村には能美市九谷焼資料館、県立九谷焼技術研修所、九谷焼流通団地、浅蔵五十吉(あさくらいそきち)美術館などがあり、国道沿いには九谷焼の店が並ぶ。このほか合繊織物、機械工業も発達し、米作や養鶏業も盛ん。
[矢ヶ崎孝雄]
『『寺井町史』(1967・寺井町)』▽『『寺井町史』全3巻(1992~1994・寺井町)』
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