日本大百科全書(ニッポニカ) 「小藤石」の意味・わかりやすい解説
小藤石
ことうせき
kotoite
ホウ酸塩鉱物の一つ。苦灰岩の接触帯中に産し、花崗(かこう)岩からのホウ素(B)の供給によって生成された鉱物。1939年(昭和14)渡邊武男(1907―1986)により、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の笏洞(ホルコル)鉱山およびルーマニアのレズバニヤRézbányaから発見された。渡邊武男は日本でも岩手県宮古市根市(ねいち)鉱山(閉山)から発見した。方解石やその他のホウ酸塩鉱物などとともに産する。自形結晶はなく、粒状結晶が方解石中に埋没して産出する。硝酸に溶ける。笏洞鉱山を最初に調査した地質学者小藤文次郎(ぶんじろう)にちなんで命名された。
[加藤 昭 2016年8月19日]