小谷城跡(読み)おだにじようあと

日本歴史地名大系 「小谷城跡」の解説

小谷城跡
おだにじようあと

[現在地名]湖北町伊部・郡上、浅井町須賀谷など

戦国時代、浅井氏が小谷山に築いた居城の跡。昭和一二年(一九三七)国の史跡に指定された。南方に虎御前とらごぜん山・山脇やまわき山・雲雀ひばり山・丁野よおの山、北方背後に伊吹山系が控え自然の要害をなし、南麓を北国脇往還・北国街道・中山道が通る交通の要所に位置する。京極氏の根本被官であった浅井亮政の代に築かれ、三代長政によって整備されたが、織田信長に攻められてのち、羽柴秀吉に移譲され、天守その他は長浜城へ移されたという。城は小谷山山頂大嶽おおづく(標高四九五・一メートル)大嶽城と、その東から南東に延びる尾根上に築かれた本城からなる。本城のある尾根の両側には南北に延びる郭があるが、とくに東側の傾斜は急で郭も尾根の中途までしかなく西に比べて竪堀も少ない。本城は本丸(鐘丸とも)を中心に形成され、南に大広間、北に京極きようごく丸・丸を配し、さらに北方搦手には六坊があった。またこの尾根の南端には丸・金吾きんご丸が独立した郭を形成している。大嶽城は浅井三代以前の同氏のものとされ、大嶽から南に連なる尾根には山崎やまざき丸がある。二つの尾根に挟まれた清水きよみず谷には浅井氏の居館があったとされ、その南方には家臣の屋敷地や城下町が広がっていた。昭和四五年から平成元年(一九八九)にかけて発掘調査、遺構の分布調査が行われ、本城を中心に土塁・石垣・礎石などの遺構が確認された。とくに平成元年の調査では大小の削平地が一千一〇〇ヵ所余確認されたほか、城下町の遺構も検出された。遺物の出土は大広間跡や城下町域に比定される郡上ぐじよう伊部いべなどにみられる。

〔歴史〕

小谷城の創建について「浅井三代記」は永正一三年(一五一六)のことと伝え、「十日計カ間ニハヤ堀土手総構出来シレバ」と記すが、確かなことは不明。しかし浅井亮政が京極家の重臣上坂信光を失脚させ同家の実権を掌握したのは大永三年(一五二三)三月のことで、まもなく、亮政は京極高清・高延父子を京極丸に迎えていることから、遅くとも同四年頃までには城は完成していたものと推定され、延宝七年(一六七九)の実宰庵縁起(実宰庵文書)には「浅井父子相共尊尚於屋形、即於小谷城中選地、相攸新殿閣、以為屋形之居、人謂之京極(丸)」とある。同五年五月、六角定頼が亮政を「小谷城」に攻め(朽木文書)野瀬のせ(現浅井町)大吉だいきち寺がこのときの戦闘で焼失している(大吉寺造営疏)


小谷城跡
こだにじようあと

[現在地名]加西市北条町小谷鴨谷町

標高二一八メートルの丘陵上に立地する中世山城跡山麓からの比高は約一三〇メートル。城は東西一五〇メートル・南北四〇メートルと細長い。連郭式に連なる曲輪を横堀と帯曲輪が取囲む。城の北東には戦国時代の特徴である畝状空堀群が確認できる。城主の居館は城の南側の通称殿とのガチにあったと伝える。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「小谷城跡」の解説

おだにじょうあと【小谷城跡】


滋賀県長浜市湖北町にある城跡。市街地の西方、標高約495mの小谷山にあり、東西の尾根伝いに階段状に曲輪(くるわ)が配され、本丸・大広間跡などから礎石が出土している。主郭部中央には本丸と大堀切りを挟んだ中丸があり、これらを守る形で武家屋敷跡が点在し、主郭の最先端には御茶屋、御馬屋跡などの曲輪、中丸の奥には京極丸・小丸・山王丸と続く。本丸には2層の天守が建っていた。1525年(大永5)ごろ、京極家の実権を掌握した浅井亮政(あざいすけまさ)が築城し、久政(ひさまさ)を経て、織田信長と戦って長政(ながまさ)が敗れる1573年(天正1)まで、浅井氏が居城とした。1570年(元亀1)には城から約7kmほど南の姉川で、浅井・朝倉義景連合軍と織田信長・徳川家康連合軍が戦い、織田軍が勝利したが、信長は城の防備の堅固さから城攻めを断念した。そして1573年(天正1)、小谷城の京極丸を羽柴秀吉軍が陥落させて本丸に迫り、本丸を守っていた長政は本丸近くの赤尾屋敷で自刃し、浅井氏は滅亡した。浅井氏の旧領のうち、伊香・東浅井・坂田3郡は秀吉に与えられたが、秀吉は小谷城が琵琶湖から離れていることから、新たに長浜城を築城し、小谷城の天守などは長浜城に移された。1937年(昭和12)に国指定の史跡になった。城跡の武家屋敷跡に小谷城戦国歴史資料館があり、出土品などが展示されている。JR北陸本線河毛(かわけ)駅からコミュニティバス「小谷城址口」下車、徒歩約40分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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