(読み)ジン

デジタル大辞泉 「尽」の意味・読み・例文・類語

じん【尽〔盡〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ジン(呉) [訓]つくす つきる つかす ことごとく
全部出しつくす。すべて費やす。「尽忠尽力大尽蕩尽とうじん
すべて…しつくす。ことごとく。全部。「焼尽一網打尽
つきる。なくなる。きわまる。「尽日自尽食尽無尽灯

じん【尽】

尽日」の略。「三月

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「尽」の意味・読み・例文・類語

ずくづく【尽】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 根気根性。元気。
      1. [初出の実例]「ぬけて出た・アノべらぼうにづくがある」(出典:雑俳・笠付類題集(1834))
    2. 働くこと。〔一茶方言雑集(1819‐27頃)〕
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 名詞、または形容詞・形容動詞語幹など体言的な語句に付けて用いる。
    1. 形容詞・形容動詞の語幹や動詞の連用形など、状態的な意を表わす語句に付いて、もっぱらその状態で満ちているさま、それの最上の状態であることなどの意を表わす。
      1. [初出の実例]「物狂 此道の第一の面白づくの芸能なり」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)二)
    2. 名詞や動詞の連用形などに付いて、両者または数人の者が、互いにそのことをしたり、いっしょにそういうことを行なったりする意を表わし、あるいは、共にその事で結ばれている関係にある意を示す。
      1. [初出の実例]「昔は因果は、さらのはしをめぐると云けるが、今はめぐりづくなしに、すぐにむかいへとぶと云こと有」(出典:三河物語(1626頃))
      2. 「自分達が相談づくで行くと決めときながら」(出典:其面影(1906)〈二葉亭四迷〉一三)
    3. 名詞に付いて、その物、事にまかせる意を表わす。…しだい。…にまかせて…する。また、そのものだけを頼りとして強引に事を運ぶ意をも含む。
      1. [初出の実例]「いかさま銭づくは、連歌には口惜事歟」(出典:落書露顕(1413頃))

じん【尽】

  1. 〘 名詞 〙
  2. つきること。すべてなくすこと。
    1. [初出の実例]「所索者。猶索三界尽無生二智。然今已発大乗機」(出典法華義疏(7C前)一)
    2. [その他の文献]〔広韻〕
  3. きわめること。すべてを出しきること。つくすこと。〔礼記‐祭統〕
  4. じんじつ(尽日)」の略。
    1. [初出の実例]「桜の散りがたになりたるみゆ。〈略〉三月じんになりにけり」(出典:高倉院厳島御幸記(1180))
  5. むじんこう(無尽講)」の略。
    1. [初出の実例]「尽(ジン)の銀の高歩かりて手形の印形が済歟」(出典:洒落本・当世廓中掃除(1807)三)

づくし【尽】

  1. 〘 接尾語 〙 ( 動詞「つくす(尽)」の連用形から ) 名詞について、その類のものを全部並べあげる意を表わす。「国づくし」「花づくし」など。近世の例には、形容詞についたものもあり、その性質をそなえたものすべてを挙げる意に用いる。
    1. [初出の実例]「絵のぼりや那須紙七騎武者尽し〈言水〉」(出典:俳諧・向之岡(1680))
    2. 「遊びといふものは面白(おもしろい)づくしにして金を使はねばならぬやうにしかけたものだ」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)初)

つき【尽】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「つきる(尽)」の連用形の名詞化 ) 尽きること。おわり。しまい。はて。→尽きす。「運の尽き」
    1. [初出の実例]「もはやかたるにつきはなひが」(出典:虎明本狂言・花子(室町末‐近世初))

ずくめづくめ【尽】

  1. 〘 接尾語 〙 名詞およびその他の語句に付いて、そのもの、または、そのことばかりであることをあらわす。
    1. [初出の実例]「色づくめ金づくめなる身の栄華」(出典:浄瑠璃・傾城酒呑童子(1718)四)

づく【尽】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙ずく(尽)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙ずく(尽)

ずくしづくし【尽】

  1. 〘 造語要素 〙づくし(尽)

づくめ【尽】

  1. 〘 接尾語 〙ずくめ(尽)

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普及版 字通 「尽」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

(旧字)盡
人名用漢字 14画

[字音] ジン
[字訓] つきる・つくす・きわめる・ことごとく

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
旧字は盡に作り、聿(いつ)+皿+水滴の象。深い器の中を洗うために、細い木の枝のような棒(聿)を入れ、水を加えて器中を洗滌(せんでき)することを示す。〔説文〕五上に「中、しきなり」とあり、器中を洗うことによって終尽の意を示す。終尽の意から、すべてを傾注する、ものを究極する意となる。

[訓義]
1. つきる、おわる。
2. つくす、きわめる、くわしくする、はたす。
3. ことごとく、すべて、みな。
4. つもごり。
5. 儘と通じ、まま。

[古辞書の訓]
名義抄〕盡 ツキヌ・ツクス・コトコトク・ククル・コゾル・アツ 〔立〕盡 ウツス・ツクス・コトコトク・ヲフ・カタチ・ハルカ・カム・ムナシ

[声系]
〔説文〕に盡を(じん)声に従う形声字とし、十上を「火の餘木なり」とするが、はおそらく燼の省略形で、燼は盡声の字である。盡がもし(しん)に従う形の字であるならば、の声義を取ることも考えられるが、盡の卜文・金文の字形は明らかに器中を洗滌する形で、津液の字とは同じでない。〔説文〕に盡声としてなど二字を収める。

[語系]
盡dzien、燼()・zienは声義近く、燼は余燼、も薪などの焼け残りをいう。dzienは津液、その液を除いて治療することをdzienといい、ともに盡と同声であるから、声義の関係があると考えてよい。また殄dynも声近く、〔説文〕四下に「盡くるなり」と訓する字である。

[熟語]
尽哀・尽意・尽家・尽管・尽歓・尽勤・尽竭・尽言・尽古・尽索・尽思・尽歯・尽室・尽日・尽觴・尽情・尽心・尽身・尽人・尽瘁・尽性・尽夕・尽贍・尽殲・尽善・尽多・尽忠・尽頭・尽年・尽美・尽命・尽劉・尽力
[下接語]
意尽・雨尽・気尽・興尽・曲尽・傾尽・竭尽・語尽・才尽・自尽・秋尽・詳尽・燭尽・勦尽・尽・盪尽・不尽・乏尽・無尽・目尽・漏尽

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