尾上松緑(読み)オノエショウロク

デジタル大辞泉 「尾上松緑」の意味・読み・例文・類語

おのえ‐しょうろく〔をのへ‐〕【尾上松緑】

[1913~1989]歌舞伎俳優。2世。東京の生まれ。屋号音羽屋。7世松本幸四郎三男。6世尾上菊五郎に師事し、時代物世話物立役ほか舞踊にもすぐれた。文化勲章受章。

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精選版 日本国語大辞典 「尾上松緑」の意味・読み・例文・類語

おのえ‐しょうろく【尾上松緑】

  1. ( 二世 ) 歌舞伎俳優。屋号、音羽屋。本名は藤間豊。七世松本幸四郎の三男。六世尾上菊五郎に学び、特に世話物に優れた。舞踊では藤間流家元、四世藤間勘右衛門として立役の名手とされた。人間国宝。文化勲章受章。大正二~平成元年(一九一三‐八九

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「尾上松緑」の解説

尾上 松緑(2代目)
オノエ ショウロク


職業
歌舞伎俳優 日本舞踊

肩書
藤間流4代目家元 重要無形文化財保持者(歌舞伎立役)〔昭和47年〕,日本芸術院会員〔昭和48年〕

本名
藤間 豊(フジマ ユタカ)

別名
別名(舞踊)=藤間 勘右衛門(4代目),藤間 勘斎(2代目)

屋号
音羽屋

生年月日
大正2年 3月28日

出生地
東京市 日本橋区浜町(東京都 中央区)

学歴
京華中中退

経歴
7代目松本幸四郎の三男で、長兄は11代目市川団十郎、次兄は松本白鸚。大正7年松本豊を名乗り初舞台。昭和2年6代目尾上菊五郎に師事し、10年2代目尾上松緑を襲名。12年には藤間流家元・4代目勘右衛門を襲名。13年召集されて中国戦線へ。24年6代目菊五郎没後、菊五郎劇団を結成。47年人間国宝に認定、48年日本芸術院会員。50年藤間流2代目藤間勘斎を名乗る。51年「義経千本桜」通し上演で権太、忠信、知盛の3役を演じた。他の当たり役に「関の扉」の関兵衛、大伴黒主、「一谷嫩軍記」の熊谷直実、「新皿屋舗月雨暈」の魚屋宗五郎、「熊野」の平宗盛など。時代物、世話物、舞踊劇と幅広く、特に荒事では江戸歌舞伎の神髄を今に最もよく伝える人といわれた。また、新作歌舞伎翻訳劇にも積極的に取り組み、「シラノ・ド・ベルジュラック」「オセロー」などで演劇界に新風を送り込んだ。62年文化勲章を受章。著書に「踊りの心」「役者の子は役者」「松緑芸話」がある。

受賞
日本芸術院賞(昭39年度)〔昭和40年〕「舞踊界への業績」,文化功労者〔昭和59年〕 文化勲章〔昭和62年〕 芸術祭奨励賞〔昭和27年〕,テアトロン賞(昭38年度),NHK放送文化賞〔昭和42年〕

没年月日
平成1年 6月25日 (1989年)

家族
父=松本 幸四郎(7代目),兄=市川 団十郎(11代目),松本 白鸚,長男=尾上 辰之助(初代),二男=藤間 勘左(日本舞踊家),孫=尾上 松緑(4代目)

親族
従姉=今藤 綾子(長唄三味線方)

伝記
最期の台詞―演劇人に学ぶ死の作法歌右衛門の疎開舞台人スナップショット終幕の思想―演劇人の死松緑芸話みごとな幕切れ歌右衛門の疎開 北川 登園 著山川 静夫 著小田島 雄志 著北川 登園 著尾上 松緑 著戸板 康二 著山川 静夫 著(発行元 STUDIO CELLO岩波書店朝日新聞社白水社講談社三月書房文芸春秋 ’07’03’99’93’92’90’87発行)


尾上 松緑
オノエ ショウロク


職業
俳優

本名
牧野 駒次郎

生年月日
明治28年 3月7日

出生地
京都府 京都市

経歴
幼時から旅芝居に一座に加わり、大阪、九州をまわった。大正14年実川延松プロに入り「目明し佐吉の死」で映画初出演。その後マキノプロ、日本映画プロ、新興京都で戦前まで活躍。

没年月日
?

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尾上松緑」の意味・わかりやすい解説

尾上松緑
おのえしょうろく

歌舞伎(かぶき)俳優。屋号音羽(おとわ)屋。

服部幸雄

初世

(1744―1815)初世尾上松助が1809年(文化6)改名して松緑を名のった。

[服部幸雄]

2世

(1913―89)本名藤間(ふじま)豊。7世松本幸四郎の三男で、11世市川団十郎と松本白鸚(はくおう)の弟。1935年(昭和10)2世を襲名。37年、舞踊の藤間流家元4世藤間勘右衞門(かんえもん)も継ぐ。6世尾上菊五郎の薫陶を受けてその芸風を継承し、世話物(せわもの)、時代物、荒事(あらごと)、舞踊の立役に優れた足跡を残し、翻訳劇や新作にも意欲を示した。72年重要無形文化財保持者、73年芸術院会員となり、87年文化勲章受章。75年、藤間流家元を長男に譲り、自身は2世藤間勘斎(かんさい)と名のった。

[服部幸雄]

3世

(1946―87)本名藤間亨(とおる)。2世の長男。1952年(昭和27)初世尾上左近(さこん)の名で初舞台ののち、65年初世尾上辰之助(たつのすけ)を名のった。75年に父から藤間流家元を継ぐ。将来を期待されていたが早世。没後3世松緑を追贈される。

[服部幸雄]

4世

(1975― )本名藤間嵐(あらし)。3世の長男。1981年(昭和56)2世左近を名のり初舞台。89年(平成1)藤間流家元となる。91年に2世辰之助を名のる。2002年4世松緑を襲名。

[服部幸雄]

『尾上松緑著『松緑芸話げいばなし』(講談社文庫)』

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20世紀日本人名事典 「尾上松緑」の解説

尾上 松緑(2代目)
オノエ ショウロク

大正期の歌舞伎俳優,日本舞踊家 藤間流4代目家元;日本俳優協会常任理事;日本舞踊協会常任理事。



生年
大正2(1913)年3月28日

没年
平成1(1989)年6月25日

出生地
東京・日本橋浜町

本名
藤間 豊

別名
別名=藤間 勘斎(2代目)

屋号
音羽屋

学歴〔年〕
京華中中退

主な受賞名〔年〕
芸術祭奨励賞〔昭和27年〕,テアトロン賞(昭38年度),日本芸術院賞〔昭和40年〕,NHK放送文化賞〔昭和42年〕,文化功労者〔昭和59年〕,文化勲章〔昭和62年〕

経歴
7代目松本幸四郎の三男に生まれ、長兄は11代目市川団十郎、次兄は松本白鸚。大正7年初舞台。昭和2年6代目尾上菊五郎に師事し、10年2代目尾上松緑を襲名。12年には藤間流家元4世勘右衛門を襲名。51年藤間流2世藤間勘斎を名乗る。時代物、世話物、舞踊劇と幅広く、とくに荒事では江戸歌舞伎の神髄を今に最もよく伝える人といわれる歌舞伎界の重鎮。また新作歌舞伎や翻訳劇にも積極的に取り組み、「オセロー」などで演劇界に新風を送り込んだ。47年人間国宝、62年文化勲章受章。著書に「踊りの心」「役者の子は役者」がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「尾上松緑」の意味・わかりやすい解説

尾上松緑 (おのえしょうろく)

歌舞伎俳優。4世まで。(1)初世(1744-1815・延享1-文化12) 初世尾上松助が1809年(文化6)11月江戸市村座で松緑と改名した。大坂生れで1755年(宝暦5)尾上菊五郎の門弟となり,61年尾上松助となる。1804年(文化1)7月河原崎座の《天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)》の早替りで大当り,作者4世鶴屋南北とコンビを組み,怪談役者の異名をとる。ほかに《加賀見山旧錦絵(かがみやまこきようのにしきえ)》の岩藤など。(2)2世(1913-89・大正2-平成1) 本名藤間豊。7世松本幸四郎の三男。11世市川団十郎,松本白鸚(8世幸四郎)の末弟。6世尾上菊五郎の門弟となり,1935年3月松緑を襲名。舞踊にも秀で,37年4月,父から藤間流の家元を継ぎ,藤間勘右衛門を名のる。75年藤間勘斎となり,家元を長男の藤間亨(尾上辰之助)に譲った。(3)3世 初世尾上辰之助に追贈。(4)4世(1975(昭和50)~ ) 本名藤間嵐。2世の孫で,尾上辰之助の長男。1991年2世尾上辰之助を襲名。2002年3世松緑を襲名した。
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百科事典マイペディア 「尾上松緑」の意味・わかりやすい解説

尾上松緑【おのえしょうろく】

歌舞伎俳優。屋号音羽(おとわ)屋。初世〔1744-1815〕は前名尾上松助。敵(かたき)役を得意とし,早替りの技巧を工夫し,怪談物を創始した。2世〔1913-1989〕は7世松本幸四郎の三男。早くから6世尾上菊五郎の下で修業し,1935年襲名。立役(たちやく)専門で,世話物,舞踊に長所を示した。1972年人間国宝。1987年文化勲章。3世は2世の長男である初世尾上辰之助〔1946-1987〕に追贈。4世〔1975-〕は3世の長男。2世尾上左近,2世尾上辰之助を経て2002年襲名。
→関連項目藤間流

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尾上松緑」の意味・わかりやすい解説

尾上松緑(2世)
おのえしょうろく[にせい]

[生]1913.3.28. 東京
[没]1989.6.25. 東京
歌舞伎俳優。屋号音羽屋。本名藤間豊。7世松本幸四郎の三男として生まれる。 11世市川団十郎,8世幸四郎の実弟。 1928年に6世尾上菊五郎一座に入り,1935年歌舞伎座で2世松緑を襲名した。6世菊五郎の薫陶を受け,その立役の芸を継承したといわれる。尾上菊五郎劇団の重鎮として活躍する一方,日本舞踊の藤間流家元4世藤間勘右衛門を兼ね,のち勘斎を名のった。 1972年重要無形文化財保持者の認定を受けた。 1973年日本芸術院会員。 1987年文化勲章受章。

尾上松緑(1世)
おのえしょうろく[いっせい]

「尾上松助(1世)」のページをご覧ください。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「尾上松緑」の解説

尾上松緑(2代) おのえ-しょうろく

1913-1989 大正-昭和時代の歌舞伎役者。
大正2年3月28日生まれ。7代松本幸四郎の3男。大正7年帝国劇場で初舞台。6代尾上菊五郎に師事。昭和10年2代松緑を襲名。12年舞踊の藤間流家元4代藤間勘右衛門,50年2代藤間勘斎をつぐ。24年尾上菊五郎劇団を結成,父幸四郎と菊五郎の立役(たちゃく)を継承した。47年人間国宝。48年芸術院会員。62年文化勲章。平成元年6月25日死去。76歳。東京出身。本名は藤間豊。屋号は音羽屋。
【格言など】歌舞伎は真似から始まり,真似で終わってはいけない(信条)

尾上松緑(初代) おのえ-しょうろく

1744-1815 江戸時代中期-後期の歌舞伎役者。
延享元年生まれ。初代尾上菊五郎の門弟となり,宝暦5年江戸市村座で尾上徳蔵を名のり初舞台。のち尾上松助(初代)と改名。早替わりを得意とし,実悪,女方をかねて怪談物で活躍。文化6年松緑に改名。文化12年10月16日死去。72歳。大坂出身。俳名は三朝,重扇。屋号は新音羽屋,のち音羽屋。

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367日誕生日大事典 「尾上松緑」の解説

尾上 松緑(2代目) (おのえ しょうろく)

生年月日:1913年3月28日
大正時代;昭和時代の歌舞伎役者。尾上菊五郎劇団を結成
1989年没

尾上 松緑(4代目) (おのえ しょうろく)

生年月日:1975年2月5日
平成時代の歌舞伎俳優;日本舞踊家

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世界大百科事典(旧版)内の尾上松緑の言及

【尾上松緑】より

…歌舞伎俳優。2世まで。(1)初世(1744‐1815∥延享1‐文化12) 初世尾上松助が1809年(文化6)11月江戸市村座で松緑と改名した。大坂生れで1755年(宝暦5)尾上菊五郎の門弟となり,61年尾上松助となる。1804年(文化1)7月河原崎座の《天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)》の早替りで大当り,作者4世鶴屋南北とコンビを組み,怪談役者の異名をとる。ほかに《加賀見山旧錦絵(かがみやまこきようのにしきえ)》の岩藤など。…

【尾上松助】より

…5世まである。(1)初世 初世尾上松緑の前名。(2)2世 3世尾上菊五郎の前名。…

【尾上松緑】より

…歌舞伎俳優。2世まで。(1)初世(1744‐1815∥延享1‐文化12) 初世尾上松助が1809年(文化6)11月江戸市村座で松緑と改名した。大坂生れで1755年(宝暦5)尾上菊五郎の門弟となり,61年尾上松助となる。1804年(文化1)7月河原崎座の《天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)》の早替りで大当り,作者4世鶴屋南北とコンビを組み,怪談役者の異名をとる。ほかに《加賀見山旧錦絵(かがみやまこきようのにしきえ)》の岩藤など。…

【藤間流】より

…初世の実子2世勘右衛門は引退した初世花柳寿輔に代わって,明治劇壇の立振付師となり活躍,養子の7世松本幸四郎に3世勘右衛門をつがせ,自身は勘翁と改めたが,勘右衛門家の基盤はこの勘翁によって築かれた。7世幸四郎は俳優と舞踊家を兼ね,三男の2世尾上松緑が1937年4世勘右衛門(現,勘斎)を襲名,75年松緑の長男尾上辰之助が5世勘右衛門を襲名した。【柴崎 四郎】。…

【松本幸四郎】より

…3男あり,長男を市川家の養子にやり,次男を初世中村吉右衛門,三男を6世尾上菊五郎に預けた。それが,後年の11世市川団十郎,8世松本幸四郎,2世尾上松緑である。(8)8世(1910‐82∥明治43‐昭和57) 本名藤間順次郎。…

※「尾上松緑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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