屈・亀(読み)かがむ

精選版 日本国語大辞典 「屈・亀」の意味・読み・例文・類語

かが・む【屈・亀】

[1] 〘自マ五(四)〙 (古く「かかむ」とも)
① 折れ曲がる。多く、腰、手、足、指など体の部分についていう。また、身を低くしてしゃがむ。うずくまる。あるいは、縮む。こごむ。
史記抄(1477)一二「膝攣はひざがかかうたぞ」
※虎明本狂言・腰祈(室町末‐近世初)「久しう見ぬ間にことの外腰がかがふだが」
人目を忍んでうずくまり隠れる。物陰などに潜む。
※文明本節用集(室町中)「蟄 カガム」
浄瑠璃・心中天の網島(1720)下「どこにかがんで、此の苦をかける」
③ (亀) =かがまる(屈)
※古活字本荘子抄(1620頃)一「亀の甲のわるるやうに手のひひきのるるを云 然は手もかかむ」
※自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉湘南雑筆「ステッキ持つ手亀(カガ)まむとす」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒かがめる(屈)
[3] 〘他マ五(四)〙 =かがめる(屈)
巷談本牧亭(1964)〈安藤鶴夫金魚玉「上がりがまちに腰を掛けて、上体をかがんで」

かがま・る【屈・亀】

〘自ラ五(四)〙 (古く「かかまる」とも)
① かがむようになる。折れ曲がった状態になる。多く、背、腰、手、足、指など、体の部分についていう。かがむ。くぐむ。また、しゃがむ。うずくまる。かごまる。
新訳華厳経音義私記(794)「曲身低影 上、可可末利(カカマリ)、低、可多夫久」
※竹取(9C末‐10C初)「ひげも白くこしもかがまり目もただれにけり」
② (亀) (「亀」はひびあかぎれの意) 寒気のために、指がかじかんでちぢこまる。また、手などがあかぎれになる。かがむ。
※和漢朗詠(1018頃)上「庭上にて立てれば頭鶴となる。坐て炉辺にあれば手亀まらず〈菅原道真〉」
太平記(14C後)二五年内は寒気甚して兵皆指を堕し、手亀(カガマ)る事有ぬべければ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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