峰定寺(読み)ブジョウジ

デジタル大辞泉 「峰定寺」の意味・読み・例文・類語

ぶじょう‐じ〔ブヂヤウ‐〕【峰定寺】

京都市左京区にある修験系の単立寺院山号大悲山開創久寿元年(1154)、開山は観空西念。享保年間(1716~1736)に元快が再興本堂はがけに臨んだ舞台造り。北大峰きたおおみね

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精選版 日本国語大辞典 「峰定寺」の意味・読み・例文・類語

ぶじょう‐じブヂャウ‥【峰定寺】

  1. 京都市左京区花背原地町にある本山修験宗系単立寺院。山号は大悲山。久寿元年(一一五四鳥羽法皇勅願によって観空西念が開創。舞台造りの本堂(観音閣)はじめ堂塔は山の中腹に建てられている。貞和六年(一三五〇)に再建

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日本歴史地名大系 「峰定寺」の解説

峰定寺
ぶじようじ

[現在地名]左京区花背原地町

京都市の最北部、大悲だいひ山の南中腹に位置し、仁王門かつら川の源流の一つである寺谷てらだに川沿いに建つ。大悲山と号し、本山修験宗。久寿三年(一一五六)信西(藤原通憲)の撰になる大悲山峰定寺縁起(現在残るのはその写)によると、仁平四年(一一五四)二月に観空西念が三間の堂を創建、白檀二尺の千手観音を安置したと伝え、同年四月に鳥羽上皇の勅願により不動明王・毘沙門天像が奉納され、以来峰定寺または大悲山寺と称する。平治元年(一一五九)四月には藤原忠通の下文(高松宮家所蔵文書)によって、法成ほうじよう(現京都市上京区)領の久多くた大見おおみ・針幡の田三五町が峰定寺領となっている。また同年五月二三日には平清盛が仏舎利、十六羅漢画像を奉納した(前掲縁起)開基の観空西念は紀州那智山に二年、大和大峯おおみね修行に三年を過ごした典型的な山岳修験者で、峰定寺は早くから山中の聖地、なかんずく天台宗の持呪者、験者たちの霊地となっていた。

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改訂新版 世界大百科事典 「峰定寺」の意味・わかりやすい解説

峰定寺 (ぶじょうじ)

京都市左京区にある寺。大悲(だいひ)山と号し,本山修験宗に属したが,現在は単立寺院。北山連峰の山中に位置する。寺伝によれば,1154年(久寿1)西念(観空)が石窟に堂を建立し,本尊千手観音(重要文化財)を安置して開創。当初は大悲山寺とも称し,鳥羽法皇の勅願で不動明王像と毘沙門天像(ともに重要文化財)が施入された。開基の西念は大峰や熊野で修行した験者で,鳥羽法皇の帰依を受け,当寺の造営も法皇の援助で藤原通憲(信西)が奉行となって進められ,縁起も信西の撰述である。1159年(平治1)には平清盛が仏舎利と十六羅漢画像を納めている。創建以来,修験の霊場として信仰を集めたが,中世に延暦寺と園城(おんじよう)寺(三井寺)が当寺支配をめぐって争い,寺運は衰えた。江戸時代に貴船成就院の元快が堂宇を修復し,聖護(しようご)院に属した。本堂は観音閣とも称して舞台造,1350年(正平5・観応1)の再建で,仁王門や供水所(阿伽井屋)とともに重要文化財。本堂の裏山は修験の行場となっており,山上には蔵王権現がまつられている。参道にある宝篋印塔は俊寛僧都の塔と伝え,俊寛の妻子が隠れたという獅子岩がそのそばにある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「峰定寺」の意味・わかりやすい解説

峰定寺
ぶじょうじ

京都市左京区花背原地(はなせはらち)町にある単立寺院。山号は大悲山(だいひざん)。本尊は千手観音(せんじゅかんのん)。開山は天台系の修験(しゅげん)者観空西念(かんくうさいねん)で、1154年(久寿1)に三間の堂を創建して千手観音を安置したのに始まる。このとき鳥羽(とば)上皇は不動明王・毘沙門天(びしゃもんてん)を奉納。1159年(平治1)には藤原忠通(ただみち)が法成寺(ほうじょうじ)領から35町を割いて寺領とし、同年に平清盛(きよもり)も仏舎利を奉納するなど、京都北部の修験道場、および聖地となっていた。しかし鎌倉時代末ころに延暦(えんりゃく)寺と三井(みい)寺(園城(おんじょう)寺)が峰定寺の支配をめぐって争ったため荒廃した。その後、本山修験宗聖護院門跡(しょうごいんもんぜき)の支配となり、享保(きょうほう)年間(1716~36)に元快(げんかい)が中興した。鎌倉時代の様式を残す本堂、阿伽井(あかい)屋、仁王(におう)門は国重要文化財。また、創建以来の本尊千手観音像、不動明王像、毘沙門天像も国重要文化財である。

[水谷 類]

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