平涼(読み)へいりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「平涼」の意味・わかりやすい解説

平涼
へいりょう / ピンリャン

中国、甘粛(かんしゅく)省東部の地級市。1市轄区、6県を管轄する(2016年時点)。常住人口209万8000(2015)。渭河(いが)の支流涇河(けいが)の上流に位置し、関中(かんちゅう)と寧夏(ねいか)を結ぶ交通路の要衝である。王城の地である関中の安定はここにかかるという意味で、漢代には安定(あんてい)郡が置かれた。のち涇州、原州(げんしゅう)、渭州などが置かれ、金(きん)代に平涼府(県)となり清(しん)末に至る。中華人民共和国成立後、市が設置され一時県に戻ったが、1983年ふたたび市となった。黄土(こうど)高原上にあって畑作農業牧畜が行われ、軽工業も発達している。また、石炭石灰石採掘も行われている。西方には黄帝伝説で有名な崆峒(こうとう)山がある。

[秋山元秀・編集部 2017年6月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「平涼」の意味・わかりやすい解説

平涼 (へいりょう)
Píng liáng

中国,甘粛省南東部,渭河支流涇河(けいが)の上流,寧夏回族自治区との境界付近にある平涼地区の中心都市。人口45万(2000)。古くから西域,甘粛回廊と西安を結ぶ交通幹線路上の要地で,4~5世紀初め以後しばしば争奪のための戦場となった。今日では肥沃な土地や灌漑により,周辺地域では農牧業が盛んで,それらの農産物や寧夏地方の皮革・毛皮の集散地として重要である。また,皮革,毛織物,陶器などの工業もみられる。
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百科事典マイペディア 「平涼」の意味・わかりやすい解説

平涼【へいりょう】

中国,甘粛省東部の都市。蘭州と陝西省西安を結ぶ要地。漢族以外にも回族などの少数民族が住んでいる。渭水(いすい)の支流【けい】河(けいが)南岸にあり,付近は農・牧畜業が盛ん。羊毛・皮革の集散,石炭・金・銀の産もある。51万人(2014)。

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