回族(読み)かいぞく(英語表記)Hui

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

回族
かいぞく
Hui

中国の少数民族の一つ。チワン族に次ぐ中国の少数民族中第2位の人口(2010年に1058万6087)を擁し、その居住地域はきわめて広範に及んでいる。これはその成立の歴史と不可分に結び付いている。「回回(フイフイ)」ともよばれる彼らの先祖は、中国に渡来したアラビアやペルシアのイスラム教徒たちであったといわれる。商売のために中国にきて住み着く者は唐代ごろからあったが、13世紀のモンゴルの西征と元の支配とを機に、西方からの人口流入が増大した。こうした渡来者は軍人や農牧民、職工、商人、学者、役人などとして各地に分散していった。彼らは婚姻を通じて漢民族やウイグル、モンゴルの人々などを漸次吸収していき、現在中国では「回族」とよばれる民族集団を形成するに至った。

 彼らは「清真寺(チンジェンスウ)」とよばれるイスラム教(回教)寺院を中心に小集団をなして居住する。都市において漢民族と近接して居住することが多く、漢化の程度が高い。宗教を核とする独自の文化を維持する一方で、日常生活においては漢文化を多く受容している。信心深い者がイスラム特有の帽子をかぶる以外、平素の服装は漢民族と区別がない。また宗教活動でアラビア語を用いる以外は漢語と漢字を用いる。豚肉を食べない習慣を厳重に守る者が多く、豚肉や豚の脂肪を使った料理のない回族を対象とする食堂が全国各地にみられるのは彼らの居住や移動の範囲の広さを物語る。

[横山廣子]

『馬寅編、君島久子監訳『概説中国の少数民族』(1987・三省堂)』

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百科事典マイペディアの解説

回族【かいぞく】

中国のムスリムイスラム教徒)の民族集団の一つ。861万人(1991)。西北地方ではドゥンガン(東干,東甘)とも呼ばれ,かつては回民とも。13世紀以降中国に来住したムスリムと,漢族などの混血により歴史的に形成された民族で,言語,容貌ともに漢民族と同じである。中国全土に居住するが,とくに寧夏回族自治区,甘粛省,河南省,雲南省に多い。回族のモスクは清真寺と呼ばれ,スンナ派である。清朝下の1862年に西北地方で大規模な反乱を起こしたことが知られる。
→関連項目イリ条約内モンゴル自治区王浩然吉首新疆ウイグル自治区トンシャン(東郷)族馬鴻逵フフホト臨夏

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精選版 日本国語大辞典の解説

ホエイ‐ぞく【回族】

〘名〙 中国各地、特に西北部に多く住む少数民族の一つ。寧夏回族自治区を作る。一三世紀以来中央アジアから来た色目人が漢族、モンゴル族などと混血したもの。イスラム教を信仰する。カイ(回)族、ホイ族、フイ族、ホイホイ、フイフイともいう。

かい‐ぞく クヮイ‥【回族】

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世界大百科事典 第2版の解説

かいぞく【回族 Huí zú】

中華人民共和国の少数民族の一つで,宗教上はイスラム教徒。中国の各地に分布し,中国語を話し,体質的には漢族と大差はない。人口は約860万(1990)。歴史上は回回,回民と呼ばれるが,自らは穆斯林(ムスリム)と称する。回族とは新しい呼称である。中国西北,新疆地方ではドゥンガン(東干)と呼ばれたが,現在はこの名称は使われない。
起源
 中国イスラムは唐宋時代に中国に渡来したアラブペルシア人とそのイスラムに起源する。

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