寧夏回族自治区(読み)ネイカカイゾクジチク(英語表記)Níng xià Huí zú zì zhì qū

デジタル大辞泉 「寧夏回族自治区」の意味・読み・例文・類語

ねいかかいぞく‐じちく〔ネイカクワイゾク‐〕【寧夏回族自治区】

中国中北部自治区黄河の中流域に位置する。区都は銀川。農業や遊牧が行われる。人口、595万(2005)。寧。ニンシアホイ族自治区。

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精選版 日本国語大辞典 「寧夏回族自治区」の意味・読み・例文・類語

ねいかかいぞく‐じちくネイカクヮイゾク‥【寧夏回族自治区】

  1. 中国北西部の自治区。自治区政府所在地は銀川。かつての寧夏省。一時内モンゴル自治区甘粛省に分割されたが、一九五八年一〇月、自治区となる。住民の約三分の一が回族。ニンシアホイ族自治区。略称は寧(ニン)

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改訂新版 世界大百科事典 「寧夏回族自治区」の意味・わかりやすい解説

寧夏回族自治区 (ねいかかいぞくじちく)
Níng xià Huí zú zì zhì qū

中国西北,黄河中流域にある省級自治区。東部は内モンゴル(蒙古)自治区,西部と南西は甘粛省,東端は陝西省に接する。面積6万6400km2,人口549万(2000)。住民の約3分の1が回族,他は漢族であるが,満州族モンゴル族も少数居住する。区都は銀川市。行政区画は2地区4市(うち県級市2)16県に分かれる(1994年末現在)。甘粛省から自治区西部へ入った黄河は,中衛・中寧地方を東流し,さらに賀蘭山脈の東側,呉忠,銀川を北北東へ流れて内モンゴルへ入る。この黄河流域に衛寧,銀呉の両平原があり,これをまとめて寧夏平原というが,とくに銀呉平原は通常銀川平原と称せられ,農業地帯として知られている。北西を走る賀蘭山脈(主峰賀蘭山3556m)は南北約200km,平均高度1500~2000mで内モンゴルとの境を成し,その西や北に砂漠がひろがる。南西には屈呉山脈と六盤山脈があって,後者は甘粛省へのびており,南東部は甘粛,陝西へつながる黄土高原がある。河川は黄河と,六盤山脈の諸河川を集めて自治区南部から北流し,中寧付近で黄河に合流する清水河などがある。気候は大陸性で,1月の平均気温は北部で-10℃前後,南部で-8℃前後,7月のそれは北部が約24℃,南部は20℃前後であり,銀川では1月が-9.7℃,7月が23.3℃である。年降水量は南部が400~500mm,北部から北西部は200mm前後と少なく,銀川は205.4mmである。

 この地の回族は古く西方から移住してきた人々の子孫で,長い歴史の間に漢族化したが,ただイスラム教を信仰しているために,一般の漢族とは風俗習慣が異なっている。この地方は古来漢族と匈奴など北方諸民族との境界地帯で,秦代ここに北地郡をおき,黄河沿いに長城を築いたが,今日それは銀川の西,内モンゴルとの境界沿いから中寧,中衛の北方にかけて残っている。漢代には鮮卑の勢力がここにのびたが,南北朝の北魏は霊州,唐代には霊都督府や霊武節度使をおいてこれを支配した。宋代11世紀初めには西夏がこの地を征服して,その都興慶府を今日の銀川に開いた。13世紀初め,元は西夏を滅ぼし,その都を寧夏府として甘粛行省に所属させ,明代には九辺鎮の一つ寧夏衛が設けられた。清代に入ると,1724年(雍正2)寧夏府として甘粛省の下に含めたが,19世紀後半にはこの地でもイスラム教徒の反乱がみられた(回教徒蜂起)。中華民国時代には1928年甘粛省から寧夏省を分離独立させたが,解放後,1954年再び甘粛省に併合,2年後旧寧夏省南東部以外を内モンゴル自治区に入れた。しかし,その後58年10月25日,その領域は旧寧夏省とは異なってはいるが,寧夏回族自治区の正式成立をみたのである。

 この地方は降水量は少ないが,寧夏平原では秦・漢代から黄河の水を灌漑に利用して農業がおこなわれており,肥沃な土地ともあいまって〈塞上江南〉(辺境の長江南部地方)といわれるほど豊かな農業地域として知られる。解放後は古代からの用水路の整備・拡張,新しい幹・支線水路の建設などで灌漑面積を拡大させるとともに,排水路,貯水池井戸などを建設して干害を防ぎ,また自治区と陝西省にかけて全長450km,幅500m,場所によっては2000mという大森林帯を造成するなど周辺の砂漠や荒れ地からの風砂に対する農地保護につとめている。おもな農産物としては春小麦,穀物生産量の20%を占めるコメ,トウモロコシ,アワ,大豆,ゴマなどがある。広大な草原では牧畜が盛んであるが,寧夏灘羊や沙毛山羊など良質の毛皮がとれるヒツジヤギが多く,ほかにラクダ毛などの畜産品がみられる。また,枸杞(くこ),甘草などの薬材やオゴノリなどはこの地の特産物である。

 地下資源の開発も解放後進展し,賀蘭山脈東麓の豊富な石炭をはじめ,鉄鉱石,リンなどが産出し,さらに池塩と呼ばれる塩湖などからの塩も多い。こうした資源により解放後の工業化も著しく,製鉄,炭鉱機械,化学肥料,製紙,毛紡織,皮革それに黄河青銅峡の水力発電などがあり,伝統工芸品としてはじゅうたんや賀蘭地方の硯などがあげられる。交通面では甘粛省蘭州と内モンゴルの包頭(パオトー)を結ぶ包蘭鉄道が自治区の大動脈であるが,中衛地方などでは防砂柵や草木による砂丘固定など,線路への砂の侵入を防ぐ諸対策がなされている。そのほか解放後発展した自動車道路や,銀川と北京,蘭州などをつなぐ航空路,中衛から下流の黄河水運などがある。おもな都市としては,古くから〈塞上名城〉といわれた自治区主都で,東の旧市街と西の新興工業地区から成る銀川,四大炭鉱のある北部の石嘴山(せきしざん),銀川平原南部の中心地呉忠などがある。歴史的遺跡としては,銀川や石嘴山にある西夏時代の帝陵や古城趾,高さ25mの仏像がある固原の唐・明代の須弥山石窟,銀川旧市街の約900年前の8角11層,高さ約60mの承天寺塔(西塔),高さ48mの古い歴史をもつ海宝塔(北塔)などの仏塔がある。
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百科事典マイペディア 「寧夏回族自治区」の意味・わかりやすい解説

寧夏回族自治区【ねいかかいぞくじちく】

中国北西部,甘粛省と内モンゴル自治区にはさまれた民族自治区。主都は銀川回族33%,漢族66%のほか満州族,モンゴル族が居住。北西部の黄河流域盆地は灌漑(かんがい)が行われ,自治区の政治・経済・文化・交通の中心。賀蘭山脈一帯は草原と砂漠で遊牧地帯。農業は小麦,アワ,コーリャン,麻,タバコ,薬材などがあり,畜産に羊毛,牛皮,羊皮がある。鉱産は石炭,塩。工業は機械,皮革,毛製品,製粉,搾油,磁器など。交通は黄河水運のほか,包蘭鉄路(パオトウ〜蘭州)に沿い,道路は比較的発達している。1958年10月,甘粛省から分離して自治区となった。約6万6000km2。659万人(2014)。
→関連項目中華人民共和国

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寧夏回族自治区」の意味・わかりやすい解説

寧夏回族〔自治区〕
ねいかかいぞく

「ニンシヤ(寧夏)ホイ(回)族自治区」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の寧夏回族自治区の言及

【回族】より

…中国政府は回族の集居地区に民族区域を設けて自治政策をとらせる方針をとった。そのおもなものは,甘粛省では寧夏回族自治区(1958成立。政府所在地は銀川市),臨夏回族自治州(1956。…

※「寧夏回族自治区」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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