式年遷宮(読み)シキネンセングウ

デジタル大辞泉 「式年遷宮」の意味・読み・例文・類語

しきねん‐せんぐう【式年遷宮】

式年造替」に同じ。特に、伊勢神宮についていう。→式年遷宮祭

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共同通信ニュース用語解説 「式年遷宮」の解説

式年遷宮

三重県伊勢市にある伊勢神宮で20年に一度、社殿を造り替え、衣装や宝物も新調して神様がお引っ越しする行事。中断はあったが、約1300年前から続く神事で、常に若くみずみずしいことを尊ぶ「常若とこわか」の精神が根底にあるといわれる。皇室の祖神とされる天照大神あまてらすおおみかみを祭る皇大神宮こうたいじんぐう(内宮ないくう)と、衣食住の神である豊受大神とようけのおおかみを祭る豊受大神宮とようけだいじんぐう(外宮げくう)でそれぞれ行われる「遷御せんぎょの儀」がクライマックス。両宮とも同じ大きさの敷地が並び、遷宮のたびに片方に新社殿が建てられ、古い方は解体される。

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精選版 日本国語大辞典 「式年遷宮」の意味・読み・例文・類語

しきねん‐せんぐう【式年遷宮】

  1. 〘 名詞 〙 一定の年限をもって社殿を造り替え、旧殿の神儀を新殿に移す儀式行事のこと。諸社によってその年限は異なるが、二〇年(伊勢神宮、住吉社、鹿島社など)から三〇年(宇佐神宮)が多い。→遷座(せんざ)

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知恵蔵 「式年遷宮」の解説

式年遷宮

神社等において、周期を定めて社殿を更新し、新たな社殿に神体を移すこと。三重県の伊勢神宮では天照大神祭神とする内宮、豊受大神を祭る外宮ともに、20年ごとに、社殿を新しく造営し祭神を遷座してきた。一般には、この神宮式年遷宮のことを指す。
伊勢神宮の式年遷宮は飛鳥時代に天武天皇が定めた行事で、「常若(とこわか)」の思想に根ざすとされる。「常若」とは、常に新しく清浄であることを尊ぶ考え。伊勢神宮は天地神明造りと呼ばれる茅葺(かやぶ)き屋根、白木柱の掘っ立てによる弥生時代の様式を受け継ぐ高床式の社殿からなる。このため、経年変化による老朽化を嫌って、一定の期間で社殿の更新をすることにしたと考えられている。685年に天武天皇が制定し、690年の持統天皇の代に最初の式年遷宮が行われた。戦国時代など、100年以上にわたり中断や延期を余儀なくされた時期もあるが、1300年以上もおよそ同じ形式を保って続いてきた。定期的に遷宮を行うため、新旧の社殿の用地が隣接して確保され、造営技術も伝承されてきた。式年遷宮を巡り多種多様な祭事が行われ、皇族神官のみならず神領民や信徒も多数参加する大規模なものである。このため伊勢参りとともに地元にもたらす経済効果は大きく、現在では奉祝コンサートなども行われて地域の観光の核となっている。
2005年から第62回式年遷宮が進められ、13年には神体を新しい社殿に移す儀式である遷御が行われる。なお、同年には島根県出雲大社でも60年ぶりに「平成の大遷宮」が実施された。出雲大社の遷宮は、その周期を神事的な根拠によって定めているわけではなく、年月を経て老朽化した大屋根の葺き替えや修造・修繕のために行われる。このためおよそ60~70年程度で実施されているが、「式年」というような概念はない。

(金谷俊秀  ライター / 2013年)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「式年遷宮」の解説

式年遷宮
しきねんせんぐう

正(しょう)遷宮とも。一定の年数で神社の社殿を造替し,御神体を奉遷すること。下鴨社・春日大社では21年目,伊勢神宮・住吉大社・香取神宮・鹿島神宮では20年目に行われる。伊勢神宮では,正殿や神宝・調度品が造り替えられるが,正殿床下に埋められる心御柱は柱を保護する覆屋とともに残される。遷宮のための祭典は,遷御の8年前に行われる山口祭・木本祭に始まり,御杣始(みそまはじめ)祭・御樋代木奉曳(みひしろぎほうえい)式・御船代(みふなしろ)祭,7年前には御木曳初式や木造始祭などが行われる。造営が進むにしたがって,正宮にかかわる祭典のほか,荒祭宮・多賀宮の遷御のための祭典など多くの祭典が催される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「式年遷宮」の意味・わかりやすい解説

式年遷宮
しきねんせんぐう

一定の周期ごとに新殿を造営して旧殿の神体を移すことをいう。伊勢(いせ)神宮の20年一度の式年遷宮はもっとも有名。

[岡田荘司]

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旺文社日本史事典 三訂版 「式年遷宮」の解説

式年遷宮
しきねんせんぐう

一定の年数を経過するごとに神殿を造営し,神体を移すこと
伊勢神宮では奈良時代以降20年目,出雲大社では60年目というように,多くの神社で現在でも行っている。

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事典 日本の地域遺産 「式年遷宮」の解説

式年遷宮(伊勢神宮)

(三重県伊勢市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報

百科事典マイペディア 「式年遷宮」の意味・わかりやすい解説

式年遷宮【しきねんせんぐう】

遷宮・遷座

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世界大百科事典(旧版)内の式年遷宮の言及

【伊勢神宮】より

… 神宮の神殿は一般に神明造と呼ばれる平入り切妻高床式の殿舎で,出雲大社の大社造とともに,神殿建築の最も古い形を伝えるものとされている。この古式の殿舎は,天武天皇のときに20年ごとに建て替えることが定められ,持統天皇のときに第1回の式年遷宮が行われて以来,1973年の遷宮まで60回に及んでいる。遷宮のために神宮の神殿には隣接する二つの用地があり,交互に一方の敷地に神殿が建てられる。…

【神社建築】より

…すなわち,祖形のもつ構造上の部材に,信仰上の意味が付加されることによって,高床建物は神社本殿として再生したのである。 伊勢において見逃すことのできない制度に式年遷宮がある。平安時代に撰述された神宮の史料によると,朱鳥3年(持統2∥688)に20年に一度遷宮を実施する制度をつくり,このとき殿舎,垣などを整備したという。…

【遷宮・遷座】より

…この場合,遷宮は伊勢神宮にのみ用い,一般神社では遷座といい,その祭儀を遷宮祭,遷座祭という。伊勢神宮では,7世紀後半の天武朝以来20年に1度〈式年遷宮〉が行われ,中世戦乱期に一時遅延したが,現在まで続いて行われている。古くは式日を外宮は9月15日,内宮は9月16日と定められ,これが例年の神嘗祭(かんなめさい)に当たることから,神殿を新たにして行われる大神嘗祭としての性格を有している。…

※「式年遷宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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