死を悼み悲しみ、故人を慰めることばや文をいう。弔はとむらう、慰めるの意。弔詞(ちょうし)とも。故人ともっとも関係が深かった人が、遺族の要請を受けて葬儀もしくは告別式において述べる。その内容は故人の死を心から悼み、自分との関係における思い出を紹介しつつ生前の人柄や功績をたたえ、家族を慰め励ますものである。3分から5分程度の分量に整え、これを奉書紙か巻紙に薄墨の毛筆で書くのが正式だが、便箋(びんせん)に万年筆で書いたものも用いられる。いずれも縦書きであり、巻紙は10センチメートル程度の余白をもって書き出し、奉書紙は1枚に収まるように整え、それぞれ外包みに収める。常套句(じょうとうく)を避け、口語体で故人に語りかける形式を用いるが、文語体を用いることもある。
忌みことばとして「重ね重ね」「くれぐれも」「ふたたび」「繰り返す」など死の連鎖を思わせる語句は不適切とされるが、これに拘泥するあまり弔意を損なうべきではない。ただし「成仏」「供養」などの語句はキリスト教式の葬儀にはふさわしくないなど、葬儀の形態に応じて適した語句があることには留意すべきである。
[柴崎直人]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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