青森県の南西部、
明和元年(一七六四)の藩律に領内の河川三九の名を載せており、岩木川はその筆頭にあげられる。しかし、岩木川の名がいつから使用されたかはわからない。寛永末年頃の津軽弘前城之絵図(櫛引元三氏蔵)をみると、岩木川の川筋は弘前城(現弘前市)の西方で二筋に分れ、城の真下の流れが岩木川、西側の流れが
岩木川の流れは津軽平野の母として人々に多くの恩恵を与えてきた。下流域の旧十三湖湿地帯の縁辺にはオセドウ貝塚(北津軽郡市浦村)・
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青森県西部を流れる川。秋田県境の白神山地に源を発し,目屋渓流をつくりながら東流し,弘前市街地付近で北に転ずる。津軽平野に入ると浅瀬石(あせいし)川,平川,十(と)川を合わせて北流し,五所川原付近から下流部は標高10m以下の平たん地で,蛇行しながら十三湖に注ぐ。幹川流路延長102km,全流域面積2544km2。この川は津軽平野の水田地帯をうるおし,また排水路にも利用されている。藩政時代には津軽地方の物資輸送の大動脈でもあった。弘前平野を中心とする岩木川上流部の流水面積は下流部の4倍もあって,大量の降雨があると下流部は大洪水に見舞われ,そのたびに河道が変化し,運搬された土砂の堆積によって自然堤防が形成された。中・下流部の集落やリンゴ園はこの堤防上に位置している。岩木川総合開発の一環として洪水調節と,灌漑用水の確保,電源開発を目的とする目屋ダム(貯水池は美山湖)が上流の西目屋村に1960年に完成した。
執筆者:横山 弘
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青森県の西部を流れる川。一級河川。秋田県境の白神山地(しらかみさんち)に源を発し、山地の間を渓流となって東流し、弘前(ひろさき)市街地付近で北に方向を転ずる。津軽平野に入ると浅瀬石(あせいし)川を合わせた平(ひら)川、十(と)川、金木(かなぎ)川と合流し、十三湖(じゅうさんこ)を経て日本海に注ぐ。延長102キロメートル、流域面積2540平方キロメートル。津軽平野の水田地帯を潤し、また排水路としても利用されている。上流に多目的ダムの目屋ダム(めやだむ)がある。津軽藩は岩木川流域の新田開発を進めるとともに改修工事も行った。三世寺、藤崎、板屋野木(いたやのき)、五所川原(ごしょがわら)、金木などに河港が開かれ物資の流通でにぎわった。川筋で集められた米は河口の十三湊(みなと)を経て鰺ヶ沢(あじがさわ)から西廻(にしまわり)海運の船に積み込まれた。
[横山 弘]
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