岩木川(読み)イワキガワ

デジタル大辞泉 「岩木川」の意味・読み・例文・類語

いわき‐がわ〔いはきがは〕【岩木川】

青森県西部を流れる川。白神山地雁森がんもり岳(標高987メートル)に源を発し、津軽平野を流れて十三湖に入り日本海に注ぐ。長さ102キロ。流域は米・リンゴの産地。

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精選版 日本国語大辞典 「岩木川」の意味・読み・例文・類語

いわき‐がわいはきがは【岩木川】

  1. 青森・秋田県境の白神山地に源を発し、津軽平野を貫流して十三湖に注ぐ川。流域は水田地帯。全長一〇二キロメートル。

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日本歴史地名大系 「岩木川」の解説

岩木川
いわきがわ

青森県の南西部、白神しらかみ山地の雁森がんもり(九八六・七メートル)を源とし、弘前市を経て津軽平野を潤したのち十三じゆうさん湖を介して日本海に注ぐ。上流部では暗門あんもん川・大沢おおさわ川・湯ノ沢ゆのさわ川などを集めて目屋めや渓谷を刻み、大秋たいあき川・相馬そうま川を合せて東流する。弘前市街の北西を過ぎて流路を北に転じ、やがて浅瀬石あせいし川と合流して水量を増したひら川を合せ、川・金木かなぎ川水系の水を集めながら平野を貫流する。流域面積約二千五四〇平方キロ、長さ約一〇二キロ。

明和元年(一七六四)の藩律に領内の河川三九の名を載せており、岩木川はその筆頭にあげられる。しかし、岩木川の名がいつから使用されたかはわからない。寛永末年頃の津軽弘前城之絵図(櫛引元三氏蔵)をみると、岩木川の川筋は弘前城(現弘前市)の西方で二筋に分れ、城の真下の流れが岩木川、西側の流れが駒越こまごし川と記されている。弘前城本丸下の岩木川は広さ四三間、深さ五尺、鰺ヶ沢あじがさわ(現西津軽郡鰺ヶ沢町)から大間越おおまごし(同岩崎村)を経て秋田へ出る羽州街道の駒越川船渡しの辺りは広さ四五間・深さ五尺とある。「津軽歴代記類」によると、弘前城本丸下の岩木川の流れは天和二年(一六八二)八月上流部の「真土村にて二股口を留切」、川筋は西側の駒越川に一本化された。「平山日記」の明暦二年(一六五六)の項には「七月岩木川毒水流申候由、ふしきの事」と記され、これに先立つ正保三年(一六四六)の項には「此年広須、姥ケ袋之大川穿替、人夫多出る」とみえ、川筋の改修工事が進行している。ここにみえるおお川は平川合流点から下流の岩木川の呼称である。

岩木川の流れは津軽平野の母として人々に多くの恩恵を与えてきた。下流域の旧十三湖湿地帯の縁辺にはオセドウ貝塚(北津軽郡市浦村)深郷田ふこうだ貝塚(同郡中里町)などの貝塚があり、縄文時代晩期の亀ヶ岡かめがおか遺跡(西津軽郡木造町)も近い。

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改訂新版 世界大百科事典 「岩木川」の意味・わかりやすい解説

岩木川 (いわきがわ)

青森県西部を流れる川。秋田県境の白神山地に源を発し,目屋渓流をつくりながら東流し,弘前市街地付近で北に転ずる。津軽平野に入ると浅瀬石(あせいし)川,平川,十(と)川を合わせて北流し,五所川原付近から下流部は標高10m以下の平たん地で,蛇行しながら十三湖に注ぐ。幹川流路延長102km,全流域面積2544km2。この川は津軽平野の水田地帯をうるおし,また排水路にも利用されている。藩政時代には津軽地方の物資輸送の大動脈でもあった。弘前平野を中心とする岩木川上流部の流水面積は下流部の4倍もあって,大量の降雨があると下流部は大洪水に見舞われ,そのたびに河道が変化し,運搬された土砂の堆積によって自然堤防が形成された。中・下流部の集落やリンゴ園はこの堤防上に位置している。岩木川総合開発の一環として洪水調節と,灌漑用水の確保,電源開発を目的とする目屋ダム(貯水池美山湖)が上流の西目屋村に1960年に完成した。
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百科事典マイペディア 「岩木川」の意味・わかりやすい解説

岩木川【いわきがわ】

青森県西部の川。長さ102km,流域面積2540km2。秋田県境の白神山地の北側に発し,多くの支流が合して津軽平野を形成,北流して河口に標式的な三角州を発展させ十三湖に注ぐ。下流部の低湿な地帯は水郷風景を展開,湿田の干拓も行われる。中世末,大浦氏(のち津軽氏)は岩木川を防御線としながら勢力を伸ばした。江戸時代は年貢輸送の大動脈となり,流域の新田開発も進められた。
→関連項目板柳[町]木造[町]中里[町]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「岩木川」の意味・わかりやすい解説

岩木川
いわきがわ

青森県の西部を流れる川。一級河川。秋田県境の白神山地(しらかみさんち)に源を発し、山地の間を渓流となって東流し、弘前(ひろさき)市街地付近で北に方向を転ずる。津軽平野に入ると浅瀬石(あせいし)川を合わせた平(ひら)川、十(と)川、金木(かなぎ)川と合流し、十三湖(じゅうさんこ)を経て日本海に注ぐ。延長102キロメートル、流域面積2540平方キロメートル。津軽平野の水田地帯を潤し、また排水路としても利用されている。上流に多目的ダムの目屋ダム(めやだむ)がある。津軽藩は岩木川流域の新田開発を進めるとともに改修工事も行った。三世寺、藤崎、板屋野木(いたやのき)、五所川原(ごしょがわら)、金木などに河港が開かれ物資の流通でにぎわった。川筋で集められた米は河口の十三湊(みなと)を経て鰺ヶ沢(あじがさわ)から西廻(にしまわり)海運の船に積み込まれた。

[横山 弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岩木川」の意味・わかりやすい解説

岩木川
いわきがわ

青森県西部,白神山地に源を発し,津軽平野を貫流して十三湖を経て日本海に注ぐ川。全長 102km,十和田湖西縁山地から発する浅瀬石川や,秋田県境の矢立峠付近からくる平川など約 50の支流をもつ。そのため経済的価値が大きく,津軽平野の大動脈として,かつては輸送路に利用。氾濫もしばしば繰返したが,1948年以来干拓を行い,水田化に成功。現在は排水路が整い,中流域は米とリンゴ,下流域は米の大産地である。

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デジタル大辞泉プラス 「岩木川」の解説

岩木川

青森県、尾崎酒造株式会社の製造する日本酒。上撰、佳撰がある。

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