(読み)セイ

デジタル大辞泉 「征」の意味・読み・例文・類語

せい【征】[漢字項目]

常用漢字] [音]セイ(漢) [訓]ゆく うつ
旅に行く。「征衣
敵・罪人を討ちに行く。「征夷せいい征討征伐征服遠征出征東征
征服する。「征圧
[名のり]さち・そ・ただし・ただす・まさ・もと・ゆき
難読征矢そや征箭そや

しちょう〔シチヤウ〕【征】

(「四丁」「翅鳥」「止鳥」などとも書く)
囲碁で、逃げようとする相手の石を、斜めに追って当たりとし、逃げられなくすること。
1にかけられる意から》身の自由を失い、進退きわまること。
「―に掛けて追ひめぐれば」〈浄・五人兄弟〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「征」の意味・読み・例文・類語

し‐ちょう‥チャウ【征・止長・翅鳥テウ・四丁・四町】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 囲碁で、石が一手もすかせず、アタリ、アタリと追われて取られてしまう形。この状態になるかどうかは、対角線上(六本の範囲内)の配置いかんできまる。一手すいたまま追われて取られる形を「ゆるみしちょう」または「だめあきしちょう」という。
    1. [初出の実例]「中の池をとられず、四丁不懸、又我為には此等の事に皆便ある也」(出典:囲碁式(1199)先手事)
  3. 転じて、身の自由を失うこと。追いつめられてとらえられること。
    1. [初出の実例]「天道様がお許しなさらず、行くに行かれぬ四鳥(しテウ)四つ辻」(出典:歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)七幕)

せい【征】

  1. 〘 名詞 〙 行くこと。旅ゆくこと。また、罪のある者を、行ってせめうつこと。
    1. [初出の実例]「征はゆいてうつといへるよみあり」(出典:名語記(1275)五)
    2. [その他の文献]〔詩経‐召南・小星〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「征」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(異体字)
9画

[字音] セイ
[字訓] うつ・ゆく・とる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は正(せい)。正は征の初文。〔説文〕二下に正字をに作り、「正行なり」とするが、征役・征取をいう字である。正は囗(い)(城郭)に向かって進み、攻撃する意で、征の初文。征服して賦貢を徴することを征といい、その支配を行うことを政という。

[訓義]
1. うつ、せめる、征服する。
2. とる、とりたてる、賦税をとる、賦税。
3. ゆく、でかける、遠くへゆく。

[古辞書の訓]
和名抄〕征 曾夜(そや) 〔名義抄〕征 ユク・ウツ・タタカフ・サル・オコナフ・チカフ

[語系]
征・正・(政)tjiengは同声。みな一系の語。

[熟語]
征鞍・征衣・征雲・征営・征役征駕・征・征雁征騎・征客征裘・征裾・征行征袗・征驂・征師・征戍・征鐘・征人・征陣・征塵・征西・征税・征戦・征船・征鐸・征儔・征伝・征途・征討・征馬・征伐・征帆征夫・征賦・征・征旅・征路
[下接語]
遠征・外征・撃征・孤征・市征・出征・初征・宵征・親征・西征・専征・徂征・長征・南征・力征

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android