後藤得三(読み)ゴトウ トクゾウ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「後藤得三」の解説

後藤 得三
ゴトウ トクゾウ


職業
能楽師(喜多流シテ方)

肩書
重要無形文化財保持者(能シテ方)〔昭和45年〕,日本芸術院会員〔昭和57年〕

生年月日
明治30年 1月17日

出生地
大阪府 大阪市堂島

経歴
明治42年上京して、14代目喜多六平太入門。仕舞「小鍛治」で初舞台。大正15年喜多流職分。昭和29年第1回能楽渡欧団の一員としてベネチア国際演劇祭に参加。32年には第2回能楽渡欧団でパリ文化祭に参加。同年より日本能楽会会員。46年後藤得三の会を発足。45年人間国宝に認定され、57年には日本芸術院会員となる。名手・六平太の高弟として師の長所を忠実に受け継ぎ、切れ味鋭い鮮やかな技で、昭和後期の能楽界を代表する演者といわれた。代表的な舞台に「道成寺」「江口」「鸚鵡小町」「翁」「三輪」「芦刈」など。著書に「後藤得三芸談」がある。

所属団体
日本能楽会,能楽協会

受賞
日本芸術院賞(昭37年度)〔昭和38年〕「卒都波小町」 勲三等瑞宝章〔昭和59年〕 芸術祭賞大賞(第21回 昭41年度)〔昭和42年〕「鉄輪」「黒塚

没年月日
平成3年 7月22日 (1991年)

家族
兄=後藤 夜半(俳人),弟=喜多 実(喜多流15代目宗家)

伝記
昭和能楽黄金期―山崎有一郎が語る名人たち人間国宝 後藤得三翁随聞記 山崎 有一郎 著,三浦 裕子 聞き手穂積 生萩 著(発行元 檜書店ぺりかん社 ’06’92発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「後藤得三」の意味・わかりやすい解説

後藤得三
ごとうとくぞう
(1897―1991)

能の喜多流シテ方。大阪生まれ。12歳で喜多六平太(ろっぺいた)に入門。師に終始師事し続け、その気合いの鋭さの継承を温雅な風格に包み込んだ芸風。1970年(昭和45)重要無形文化財保持者の認定を受け、82年日本芸術員会員となる。金春(こんぱる)流の桜間(さくらま)道雄と同年生まれで、ともに80代の演者が第一線でありうることを舞台に実証した能役者である。喜多実(みのる)(喜多流15世宗家)の兄。

[増田正造]

『後藤得三・大河内俊輝編『後藤得三芸談』(1985・ペリカン社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

20世紀日本人名事典 「後藤得三」の解説

後藤 得三
ゴトウ トクゾウ

昭和期の能楽師(喜多流シテ方)



生年
明治30(1897)年1月17日

没年
平成3(1991)年7月22日

出生地
大阪市堂島

主な受賞名〔年〕
日本芸術院賞〔昭和38年〕「卒都波小町」,芸術祭大賞〔昭和42年〕「鉄輪」「黒塚」,勲三等瑞宝章〔昭和59年〕

経歴
12歳で喜多六平太に入門。大正15年喜多流職分、46年後藤得三の会を発足。シテ方の第一人者で、昭和45年人間国宝に指定され、57年には日本芸術院会員となる。著書に「後藤得三芸談」がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「後藤得三」の意味・わかりやすい解説

後藤得三
ごとうとくぞう

[生]1897.1.17. 大阪
[没]1991.7.22. 東京
能楽師,喜多流シテ方。 15世宗家喜多実の実兄。 1909年,14世宗家喜多六平太に入門,同 1909年仕舞『小鍛冶』で初舞台。 1924年『道成寺』を披 (ひら) く。 1963年日本芸術院賞受賞,1970年重要無形文化財保持者認定,1982年日本芸術院会員。師の談話を筆録した『六平太芸談』 (1942) のほかに著書『後藤得三芸談』 (1985) がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「後藤得三」の解説

後藤得三 ごとう-とくぞう

1897-1991 昭和時代の能楽師シテ方。
明治30年1月17日生まれ。弟の喜多実(みのる)とともに喜多流14代喜多六平太能心に師事。明治42年初舞台。戦後,ベネチア,パリでも公演。90歳をすぎても能を演じた。昭和45年人間国宝,57年芸術院会員。平成3年7月22日死去。94歳。大阪出身。著作に「後藤得三芸談」。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「後藤得三」の解説

後藤 得三 (ごとう とくぞう)

生年月日:1897年1月17日
昭和時代の能楽師(喜多流シテ方)
1991年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の後藤得三の言及

【喜多流】より

… 明治初期の家元にその人を得なかったため,伝来の面・装束を失ったことは惜しまれるが,14世六平太能心が幼くして家元を継承,浅野,井伊,藤堂,山内など旧藩主の後援と,紀喜和(旧津軽藩),松田亀太郎(旧水戸藩),梅津只円(旧福岡藩)らの助力によって流勢を盛り立て,また変幻自在のわざの切れは近代の名手とたたえられた。現在の家元は15世喜多実(みのる)(六平太の養子),ほかに重要無形文化財保持者各個指定(人間国宝)の後藤得三(実の兄),友枝喜久夫,粟谷新太郎,喜多長世(実の子)らが流儀を支えている。1983年現在,公認の玄人数は全国で約50名,五流中最も少ない。…

【喜多六平太】より

…1947年芸術院会員,53年文化勲章受章,55年重要無形文化財保持者各個指定(人間国宝)に認定。後継者に逸材が多く,養嗣子15世宗家喜多実(1900‐86),その実兄で人間国宝の後藤得三(1897‐1991),友枝喜久夫(1908‐96)らがいる。著書に《六平太芸談》がある。…

※「後藤得三」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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