日本大百科全書(ニッポニカ) 「御荷鉾緑色岩類」の意味・わかりやすい解説
御荷鉾緑色岩類
みかぶりょくしょくがんるい
Mikabu green rocks
御荷鉾帯の主体をなす緑色岩類。西南日本の外帯で、三波川(さんばがわ)変成帯とその南側に並走する秩父(ちちぶ)帯との間に、緑色岩を主とした狭い帯状域が断続しつつ分布している。これを御荷鉾帯といい、その主体をなす緑色岩類を御荷鉾緑色岩類という。それらは、海底に噴出・貫入した玄武岩ないし斑糲(はんれい)岩が、比較的低い温度で変成作用を受けたもので、パンペリー石、アクチノ閃(せん)石、緑泥石などが生成している。原岩の玄武岩や斑糲岩は、三波川変成岩の生成に伴って貫入した変動時貫入岩と考えられたこともあった。しかしいまでは、海底の玄武岩類が崩壊した際の破砕片が堆積(たいせき)して形成された、ある種の堆積岩類であるという考えが有力である。
[橋本光男]