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快楽主義 かいらくしゅぎhedonism

翻訳|hedonism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

快楽主義
かいらくしゅぎ
hedonism

行為の標識として快楽 hēdonēをとる理論。幸福主義の一形態。キュレネ学派,なかんずくアリスチッポスは瞬間的楽のみを善とし,可能なかぎり多くの快楽を集めることに幸福が存するとした。これに反しエピクロスは,そうした感覚的,瞬間的快楽を否定し,至高善たる快は持続的な,したがって精神的なものでなくてはならないとしてアタラクシアを説き,快楽に質的区別を認めた。ほとんど禁欲的な生活をおくったエピクロスへの世人の誤解は,快楽主義への偏見の典型である。古代のこの2学派は快楽主義の2つの典型であるが,近代にいたってベンサムはそこに社会的観点を導入した。彼は功利主義に立って,快楽の量的差に基づく快楽計算を提唱,最大多数の最大幸福を主張した。なお,物質的快楽の追求は多くの困難に遭遇することになり,苦痛を増す。それゆえ快楽の放棄こそ快楽への道であるという考えが生れるが,これを快楽主義的逆説と呼ぶ。また美学の領域では,美的快楽を美の本質的要素とする説を美的快楽主義と呼ぶ。 (→エピクロス主義 )

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デジタル大辞泉の解説

かいらく‐しゅぎ〔クワイラク‐〕【快楽主義】

自己の快楽を追求して苦痛を避けることが善であり、それが人生究極の目的あるいは道徳の原理であるとする考え。快楽説。ヘドニズム

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百科事典マイペディアの解説

快楽主義【かいらくしゅぎ】

ギリシア語ヘドネに由来する英語hedonismなどの訳語。快楽を善と考え,快楽の追求を人間の行為および道徳の基礎とする考え方。感覚的快を中心に考えるものと精神的快を真の快楽とするもの,快楽に量的な違いのみを認めるものと質的な差を重視するもの,個人的快を善とするものと公衆の幸福(〈最大多数の最大幸福〉)を善とするものなどがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

かいらくしゅぎ【快楽主義 hedonism】

快楽(ギリシア語hēdonē)こそ善の最終的な判断の基準であると考える倫理的立場。一般には肉体的快楽,とくに性的快楽を追求する立場をいうが,哲学史的には,何を快楽とするかは,各体系によって異なる。ソクラテスの弟子アリスティッポスは,人生の目的を快楽の追求とした。ただしこの快楽とは肉体的放縦の所産ではなく,逆に魂による肉体的欲望の統御から生まれると考えた。この態度は次代のエピクロス学派に続く。エピクロスとその学派は魂の平静(アタラクシアataraxia)を重んじ,健康で質素な共同生活を通して得られる精神的快楽を重んじた。

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大辞林 第三版の解説

かいらくしゅぎ【快楽主義】

快楽を行為の究極目的とし、苦を避けるべきだとする考え。幸福主義の一。古代ギリシャのエピクロスにその源流があるが、近代ではとりわけ功利主義の基礎となる。快楽説。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

快楽主義
かいらくしゅぎ
hedonism

快楽を最高価値の人生の目的と考え、行動の正しさや義務の基準とみなす倫理学の立場。目的論の一形態で、目的となる相手により、利己主義、利他主義、功利主義のいずれにもなりうる。古代ギリシアのエウドクソスやキレネ学派、エピクロス学派、ホッブズ、イギリスの功利主義者たちに著しい。快楽に質的差を認めず、快楽計算を可能と考えるベンサムの量的快楽主義と、快楽に質的優劣を認めるJ・S・ミルの質的快楽主義が区別される。人間本性は快楽を求めるようにできていると唱える心理的快楽説は、快楽主義を有力に支援し、前述の快楽主義者たちやフロイトなどにもみられる。
 快楽主義の問題点は、(1)目的論一般の制約をもち、(2)心理的快楽主義が決め手を欠く仮説であること、(3)快楽の量的計算には困難があり、(4)善である多くの目的を不当に快楽に還元し、(5)故意に求めぬときにかえって快が得られる「快楽主義の逆説」hedonistic paradoxを伴うことなどにある。[杖下隆英]

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世界大百科事典内の快楽主義の言及

【エピクロス】より

…原子論と快楽主義で有名な古代ギリシアの哲学者。サモス島の生れ。…

【キュレネ学派】より

…北アフリカのギリシア都市キュレネに起こった快楽主義哲学を奉じる学派。ソクラテスの弟子アリスティッポスの創立とされているが,その孫のアリスティッポスが始めたという説が有力。…

※「快楽主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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