恨む(読み)ウラム

デジタル大辞泉 「恨む」の意味・読み・例文・類語

うら・む【恨む/怨む/憾む】

[動マ五(四)]
ひどい仕打ちをした相手を憎く思う気持ちをもちつづける。「冷たい態度を―・む」
自分の思うようにならない状況に不満や悲しみを持ちつづける。「世の中を―・む」
(憾む)望みどおりにならず、残念に思う。「機会を逸したことが―・まれる」
[動マ上二]
1に同じ。
「世の中はいかに苦しと思ふらむここらの人に―・みらるれば」〈古今雑体
ぐちを言う。
「花散らす風の宿りは誰か知る我に教へよ行きて―・みむ」〈古今・春下〉
無念を晴らす。仕返しをする。
「入道相国朝家を―・み奉るべき事必定と聞こえしかば」〈平家・三〉
[補説]中世までは上二段活用、近世になって四段活用に転じた。
[類語]憎む嫌う忌み嫌うそねのろ嫌がる厭う憎悪する嫌悪する敵視する仇視きゅうしする嫉視しっしする呪詛じゅそする唾棄だきする目のかたきにする白い目で見る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「恨む」の意味・読み・例文・類語

うら・む【恨・怨・憾】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行上二段活用 〙
    1. 自分に対してひどいことをした人、または、自分の思い通りにならない物事やその状態などに不満を持ち、悲しく思う。また、残念に思い反発する気持を持つ。うらぶ。うらみる。
      1. [初出の実例]「あはずとも吾は怨(うらみ)じこの枕吾と思ひて枕(ま)きてさ寝ませ」(出典:万葉集(8C後)一一・二六二九)
    2. 憤りの気持を口に出す。当の加害者に不満を訴える。
      1. [初出の実例]「花ちらす風のやどりは誰かしる我にをしへよ行きてうらみむ〈素性〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春下・七六)
    3. ( の意から、詩的表現として ) 秋の虫がさびしそうに鳴く。また、悲しみを誘うように風が音を立てる。
      1. [初出の実例]「あか月のつゆは涙もとどまらでうらむる風のこゑぞのこれる」(出典:相模集(1061頃か))
    4. 仕返しをする。(斬りつけて)恨みを晴らす。
      1. [初出の実例]「入道相国朝家を恨み奉るべき事必定と聞こえしかば」(出典:平家物語(13C前)三)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙 ( [ 一 ]から転じて、近世以後に使われるようになった ) [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「此男久米之助親を深く恨む事ありて」(出典:浮世草子・好色二代男(1684)七)

恨むの語誌

中世までは上二段に活用したが、近世以後は四段化した。語源は「うら(心)み(見)る」で、もともとは心中の持続的な状態であるが、後にはそれを外に表わす動作をいうようにもなった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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