呪う(読み)ノロウ

デジタル大辞泉 「呪う」の意味・読み・例文・類語

のろ・う〔のろふ〕【呪う/×詛う】

[動ワ五(ハ四)]
恨みや憎しみを抱いている人に災いが起こるように神仏に祈る。また、災難がふりかかったり、失敗したりするように願う。「恋がたきを―・う」「―・われた運命
強く恨む。「世を―・う」
[類語]憎む嫌う忌み嫌う恨むそね嫌がる厭う憎悪する嫌悪する敵視する仇視きゅうしする嫉視しっしする呪詛じゅそする唾棄だきする目のかたきにする白い目で見る

まじ‐な・う〔‐なふ〕【呪う】

[動ワ五(ハ四)]
災いや病気を避けるために神仏などに祈る。「日照りが続かぬよう―・ってもらう」
相手の死を願って神仏などに祈る。
「彦人の皇子みかた竹田の皇子の像とを作りて―・ふ」〈用明紀〉
祈って病気を治療する。
去年の夏も世におこりて、人々―・ひわづらひしを」〈若紫

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「呪う」の意味・読み・例文・類語

のろ・うのろふ【呪・詛】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. 恨んだり憎んだりする人に、わざわいがあるようと神仏に祈る。
    1. [初出の実例]「新羅人其の呪詛(ノロヒとこふ)ことを怖れて」(出典日本書紀(720)神功摂政四七年四月(熱田本訓))
    2. 「主上をのろひまゐらせけるきこえありて」(出典:愚管抄(1220)五)
  3. 他人をひどく悪くいう。ひどい悪口をいう。
    1. [初出の実例]「圧制家(ですぽと)・利己論者(いごいすと)と口では呪ひながら、お勢もつい其不届者と親しんで」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)
  4. 強く恨む。
    1. [初出の実例]「君を見て昨日に似たる恋しさをおぼえさせずば神よ詛(ノロ)はむ」(出典:舞姫(1906)〈与謝野晶子〉)

まじ‐な・う‥なふ【呪】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. 神仏や神秘的なものの威力を借りて、災いや病気を除いたり、災いを起こしたりするようにする。
    1. [初出の実例]「遂に太子(ひつきのみこ)彦人(ひこひと)皇子の像(みかた)と竹(たけ)田皇子の像とを作りて厭(マシナフ)」(出典:日本書紀(720)用明二年四月(図書寮本訓))
  3. 転じて、ごまかす。うわべを、うまくとりつくろう。
    1. [初出の実例]「廿五文が駕籠相輿(あひごし)で振廻(ふるまふ)所を、三文が地黄玉でまじなふた」(出典:浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三)

とこ・うとこふ【呪・詛】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙 人の身に悪いことが起こるように神に祈る。わざわいを他に加えようとして祈る。のろう。
    1. [初出の実例]「鈎を以て汝兄に与へたまはむ時に、則ち可詛(トコヒ)言」(出典:日本書紀(720)神代下(鴨脚本訓))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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