特定秘密の指定や解除に問題がないかどうかをチェックする国会の常設組織。2014年12月の特定秘密保護法施行を受けて衆参両院に設置された。各8人の議員で構成する。審査は非公開の秘密会形式で実施。必要と判断すれば行政機関の長に運用改善を勧告できる。特定秘密の提出を要請できる上、国会の他の委員会の求めに行政機関が応じない場合には提出を勧告できる。政府側は、日本の安全保障に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断すれば提出を拒める。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
衆議院と参議院にそれぞれ設けられた特定秘密の常設監視機関。改正国会法第102条の13の規定に基づき、2014年(平成26)12月に新設された。政府が特定秘密保護法や同制度を乱用して情報を隠蔽(いんぺい)しないよう常時チェックするため、特定秘密の指定・解除、管理・廃棄の状況、特定秘密を扱う職員の適性評価が適切かどうかなどを監視する。必要に応じて各省庁に特定秘密の提出を要求でき、指定が不適切であると判断した場合には指定解除などを勧告できる。また、政府から年に1回、特定秘密保護法運用の報告を受ける。その一方で年1回または随時、審査報告書を衆参両院議長に提出しなくてはならない。情報監視審査会は衆参各8人の委員で構成し、各会派の所属議員比率に応じて委員を割り当てる。委員は必要に応じて特定秘密を閲覧できるが、特定秘密を漏らさない旨の宣誓を求められ、漏らした場合には懲罰の対象となる。情報監視審査会は国会閉会中も開催できる。特定秘密を保護するため原則非公開の秘密会であり、傍聴できず、議事録も公開されない。
情報監視審査会に対しては、(1)委員が与野党拮抗(きっこう)しているアメリカ上院情報委員会などと異なり、委員構成が与党に有利で、政権・与党の恣意(しい)的な運用がなされかねない、(2)特定秘密の提出を要求された各省庁には拒否権がある、(3)勧告に強制力がない、(4)内部通報を受け付ける規定がない、などの理由から、野党や日本弁護士連合会などから、十分なチェック機能を果たすかどうか疑問であるとの意見がでている。
なお情報監視審査会以外に、特定秘密保護法や同制度の運用をチェックする機関として、政府内に内閣保全監視委員会があるほか、内閣府に情報保全監察室が設けられており、独立公文書管理監が室長を務めている。
[矢野 武 2015年11月17日]
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