情状酌量(読み)じょうじょうしゃくりょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

情状酌量
じょうじょうしゃくりょう

裁判上の刑の減軽事由。酌量減軽ともいう。法定刑を減軽する事由として、法律上のものと裁判上のものとがある。法律上の減軽事由には、たとえば、従犯・心神耗弱など必要的なものと、過剰防衛・法律の不知など低意的なものとがあるが、いずれも、法律上明文で規定されているのに対して、裁判上の減軽事由につき、刑法第66条は、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる」と一般的に規定している。

 本条の趣旨は、法律上の減軽とは異なり、法定刑または処断刑の最下限でも、犯行時の客観的・主観的事情、さらには、犯行前や犯行後のあらゆる事情からみて、なお刑が重すぎる場合に、裁判官の裁量により犯罪の具体的情状に即して刑を言い渡しうることにある。

[名和鐵郎]

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デジタル大辞泉の解説

じょうじょう‐しゃくりょう〔ジヤウジヤウシヤクリヤウ〕【情状酌量】

[名](スル)刑事裁判において、同情すべき犯罪の情状をくみ取って、裁判官の裁量により刑を減軽すること。「情状酌量する余地がある」

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四字熟語を知る辞典の解説

情状酌量

刑事裁判の判決にあたって、犯罪人の同情すべき事情を考慮して、刑罰を軽減すること。

[活用] ―する。

[使用例] 譲次の犯行に情状酌量すべき点があるとすれば「異常な嫉妬」があるだけで[森茉莉*或殺人|1962]

[使用例] あげくの果てに被害者からそれ以上の利益を得られないとみるや、冷酷にも惨殺した。情状酌量の余地は全くありません[井上光晴*心優しき叛逆者たち|1969]

[解説] 「情状」は実際の事情。「酌量」は事情をくみとって同情すること。

[類語] しゃくりょうげんけい

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百科事典マイペディアの解説

情状酌量【じょうじょうしゃくりょう】

裁判官が情状(犯人の性格・年齢・経歴・境遇・犯罪の動機・犯罪後の態度・社会事情の推移など犯罪と関係ある一切の具体的事実)のあわれむべき点をくみとって,刑罰を減軽すること(刑法66条)。法律上の減軽(刑法68条)に対し,裁判上の減軽ともいう。法律により刑を加重・減軽する場合でも,情状を酌量し得る。→執行猶予
→関連項目錯誤

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精選版 日本国語大辞典の解説

じょうじょう‐しゃくりょう ジャウジャウシャクリャウ【情状酌量】

〘名〙 刑事裁判で、裁判官が判決をするにあたり、犯罪人の情状のあわれむべき点をくみとって、刑罰を軽減すること。酌量減軽。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉八「造物士の判廷に情状酌量は無い」

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世界大百科事典内の情状酌量の言及

【量刑】より

…刑事裁判において,犯罪事実の存在が認められて有罪の判決が下される場合には,刑の言渡しがなされる。すなわち,裁判所は,事実認定の作業を進めて犯罪の証明があったと判断すると,次いで宣告すべき刑を量定することになる。これを略して量刑と呼ぶ。刑事裁判官の使命は,このように,事実認定と量刑という二つに大別されるわけであるが,公判の審理を受ける被告人のほぼ8割が罪を認めている(自白している)といわれる日本の現状では,公判手続において量刑のもつ意味はきわめて大きい。…

※「情状酌量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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