(読み)マン

デジタル大辞泉 「慢」の意味・読み・例文・類語

まん【慢】[漢字項目]

常用漢字] [音]マン(呉)
心がゆるんで締まりがない。「怠慢
速度進行がだらだらと遅い。「慢性緩慢
他をみくびっておごる。「慢心我慢驕慢きょうまん高慢傲慢ごうまん自慢侮慢暴慢増上慢

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精選版 日本国語大辞典 「慢」の意味・読み・例文・類語

まん【慢】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( [梵語] māna の訳 ) 仏語。思いあがって人をあなどること。また、そのさま。これに七慢、八慢、九慢など、種々の心のはたらきを数える。慢心。
    1. [初出の実例]「有恭敬而心慢(マンナル)六韜〕」(出典:文明本節用集(室町中))
    2. [その他の文献]〔倶舎論‐一九〕

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普及版 字通 「慢」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

[字音] マン
[字訓] あなどる・おこたる・おごる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は曼(まん)。曼は面衣を引いて流し目をする形で、軽侮の意を含む。〔説文〕十下に「惰(おこた)るなり」とし、また「一に曰く、慢りて畏れざるなり」という。と声義が近い。

[訓義]
1. あなどる、かろんずる、そまつにする。
2. おこたる、なまける。
3. おごる、うとんずる。

[古辞書の訓]
名義抄〕慢 オコタル・オゴル・アナヅル・マダラナリ・オクレヌ・ナメシ・ユルナリ・ユルビテ・サマタレタリ・ミダリガハシ 〔字鏡集〕慢 ミダリガハシ・タマカツラ・ナメシ・ワスル・オクレヌ・マダラナリ・アナヅル・オコタル・ホコル・マク・ユルシ・オコル・ユルナリ・サマタレタリ

[語系]
慢・)meanは同声。蔑miatは声義近く、慢易・軽蔑の意を含む語である。

[熟語]
慢易・慢違・慢慢焉・慢火・慢緩慢棄・慢欺慢戯・慢愚・慢瞼慢狎慢弛慢肆・慢書・慢心・慢世・慢声慢泄・慢然慢惰・慢怠慢誕・慢慢黷・慢罵慢悖・慢侮・慢舞慢膚慢慢・慢遊・慢戻
[下接語]
易慢・違慢・我慢・懈慢・閑慢・寛慢・緩慢・簡慢・欺慢・倨慢・虚慢・矜慢・驕慢・軽慢・夸慢・高慢・敖慢・傲慢・忽慢・肆慢・自慢・奢慢・舒慢・慢・慢・僭慢・疎慢・惰慢・怠慢・貪慢・慢・悖慢・廃慢・侮慢・放慢・暴慢・慵慢・懶慢・陵慢

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「慢」の意味・わかりやすい解説


まん

仏教で説く煩悩(ぼんのう)の一つ。サンスクリット語マーナmānaの訳。自分を高くみて他を軽視する、自己中心的な思い上がりの心。こうした心理を分析して三慢、七慢、九慢などが説かれる。このなかに「我慢(がまん)」も含まれるが、これは今日の日本語の、自己を抑制する意味の「我慢」とはむしろ逆の心理状態であり、強い自我意識からおこる慢心をいう。

[池田練太郎]

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