作家。佐賀県鍋島(なべしま)村(現佐賀市)に生まれる。山形高校理科へ入学したが、健康上の理由で中退。回復後、東京日日新聞社へ入社し、以後1955年(昭和30)までジャーナリスト生活を送った。東京日日新聞社会部長、毎日グラフ編集次長などを歴任。1954年長谷川伸(しん)の主催する新鷹(しんよう)会に参加、同年『大衆文芸』に発表した『高安犬(こうやすいぬ)物語』で直木賞を受賞。1962年に出版された『子どものための動物物語』全15巻で、サンケイ児童出版文化賞を受賞した。動物の生態を正しい知識に基づいて描く物語は、椋鳩十(むくはとじゅう)と並び、児童文学の世界に動物小説という新しい分野を確立した。
極北の吹雪のなかで生まれ、王座を捨て、人間とともに自然と闘うオオカミ犬の物語『オーロラの下で』(1975)や、マサイの少年と野生のライオンの触れ合いを描いた『王者のとりで』(1984)など、重厚な感動を生み出した作品がある。また、ルポルタージュや、独特の人間観から描かれた将校伝や戦記物語、ユーモア小説と幅広い活躍をみせた。また、イリオモテヤマネコの発見にかかわった人物としても有名であり、その経緯を『イリオモテヤマネコ』(1972)に著した。
1977年『戸川幸夫動物文学全集』全15巻で芸術選奨文部大臣賞、80年紫綬褒章、86年勲三等瑞宝章を受章した。
[二上洋一]
『『子どものための動物物語』全15巻(1969・国土社)』▽『『イリオモテヤマネコ――原始の西表島で発見された“生きた化石動物”の謎』(1972・自由国民社)』▽『『戸川幸夫動物文学全集』全15巻(1976・講談社)』▽『『オーロラの下で』(金の星文庫)』▽『『高安犬物語』(新潮文庫)』
昭和・平成期の作家 日本動物愛護協会理事。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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