打付ける(読み)ウチツケル

デジタル大辞泉 「打付ける」の意味・読み・例文・類語

うち‐つ・ける【打(ち)付ける】

[動カ下一][文]うちつ・く[カ下二]
くぎなどで打って、取り付ける。「雨戸に板を―・ける」
強く打つ。ぶっつける。「鴨居かもいに頭を―・ける」
火打ち石を打って火をつける。
「母は錠をあけてはいり、火を―・ける」〈人・閑情末摘花・一〉
露骨に事を行う。遠慮なくする。
「いやながらかなへてもやるべしと、―・けたる文章」〈浮・五人女・三〉
うってつけである。格好である。
「―・けたよいかたき不足はあるまい」〈浄・加増曽我〉
[類語]当てるぶつける打ち当てる突き当てる突っかかる突っかける衝突激突命中的中百発百中体当たり一撃打撃強打痛打連打乱打滅多打ち

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「打付ける」の意味・読み・例文・類語

うち‐つ・ける【打付】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]うちつ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. くぎなどを打ち込んで、ある物につける。
    1. [初出の実例]「様々に終夜(よもすがら)物の具共打付て」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)
    2. 「大物(だいもつ)の五六(ごろく)にて打付たる桟敷傾き立て」(出典:太平記(14C後)二七)
  3. 火打石を打って、火をつける。
    1. [初出の実例]「一番に火うちつけて法華堂の常燈につけられたり」(出典:愚管抄(1220)三)
  4. 手かせや足かせを付ける。縛りつける。
    1. [初出の実例]「盗人を捕へて打付て置たりけるが」(出典:今昔物語集(1120頃か)二五)
  5. 強く打つ。激しくぶつける。投げつける。
    1. [初出の実例]「天雲に翼(はね)打附(うちつけ)て飛ぶ鶴のたづたづしかも君しいまさねば」(出典:万葉集(8C後)一一・二四九〇)
    2. 「打物抜きて〈略〉この人にうちつけんとしたりしかば」(出典:御伽草子・あきみち(室町末))
  6. ( 「うち」は接頭語 ) 物に物を添える。付ける。
    1. [初出の実例]「おほきなるかうらいをうちつけ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴)
    2. 「つらつらと聞かせ給うて〈略〉御声うちつけさせ給ひて」(出典:讚岐典侍(1108頃)上)
  7. ( 「うち」は接頭語 ) ぶしつけに物事をする。露骨に物事をする。
    1. [初出の実例]「うちつけたる文章、去りとてはにくさもにくし」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)三)
  8. ( 「うち」は接頭語 ) うまく適合する。うってつけである。
    1. [初出の実例]「うちつけたよい敵(かたき)、不足は有まい」(出典:浄瑠璃・加増曾我(1706頃)四)

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