押書(読み)あっしょ

デジタル大辞泉の解説

おう‐しょ〔アフ‐〕【押書】

ある事を履行し、または命令に従うことを誓う文書。誓約状。
鎌倉時代、武家の所領の訴訟に際し、訴人(原告)・論人(被告)が裁判所に提出した誓約書。あっしょ。

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世界大百科事典 第2版の解説

あっしょ【押書】

契約状の一種。〈あそ〉〈あっそ〉〈あしょ〉とも読む。平安後期から戦国時代にかけてみられる中世に特有の文書形式であるが,その性格はほとんど不明。《沙汰未練書》には〈押書トハ未成事兼入置状也〉とある。用例としては売買貸借契約に伴う押書,あるいは請文に等しい押書がみられる。これらから推すと,押書とは契約の相手に対して,将来において発生しうると予測される契約相手の不利益について,その解決のために果たすべき事項を契約締結時に前もって契約しておく文書といえよう。

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大辞林 第三版の解説

おうしょ【押書】

〔「あっしょ」とも〕
鎌倉時代、所領についての訴訟をする場合、敗訴の場合には所領を相手方に渡す旨を記して提出した契約状。

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精選版 日本国語大辞典の解説

あっ‐しょ【押書】

〘名〙
① 将来、ある事柄を請け合う文書。誓約状。おうしょ。おさえがき。
※薩藩旧記所収権執印文書‐長寛二年(1164)六月一日・薩摩国新田宮前執印桑田信包請文「押書事 右件押書根元者」
※青方文書‐応永五年(1398)七月六日・肥前国五島青方村諸族連署押書「すゑかすゑまて御ろんあるましく候。よて後日のためにあっしょのしゃうくたんのことし」
鎌倉時代武家訴訟で、訴人(原告)、論人(被告)が裁判所に提出した誓約の文書。自己の主張の正当性を述べ、もし理由のない主張であったならば自己所有の所領相手方(または第三者)に渡すべきことを記入する、濫訴防止の措置。押書状。懸物押書(かけものあっしょ)。懸物。懸物状。おうしょ。おさえがき。
※近衛家本追加‐仁治二年(1241)八月二八日「甲乙之輩、訴訟之時、遂対問之処、或不裁許之族、為鬱憤、称懸物押書、或所申為非拠者、以論人之所領、可給敵人之由、相互載其状

おう‐しょ アフ‥【押書】

おさえ‐がき おさへ‥【押書】

〘名〙
① 中世の契約証書の一種。土地売買、請負などの契約締結にさいし、後日の違乱による訴訟沙汰にそなえ、種々の約束文言を記しておいた証文。ふつうは「あっしょ」とよんでいる。→押書(あっしょ)
② 衆人に示す張文(はりぶみ)
大内氏掟書‐一一六条・文明一九年(1487)四月二〇日「一就右御定法赤間関地下仁押書案文」

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世界大百科事典内の押書の言及

【押書】より

…平安後期から戦国時代にかけてみられる中世に特有の文書形式であるが,その性格はほとんど不明。《沙汰未練書》には〈押書トハ未成事兼入置状也〉とある。用例としては売買貸借契約に伴う押書,あるいは請文に等しい押書がみられる。…

【押書】より

…平安後期から戦国時代にかけてみられる中世に特有の文書形式であるが,その性格はほとんど不明。《沙汰未練書》には〈押書トハ未成事兼入置状也〉とある。用例としては売買貸借契約に伴う押書,あるいは請文に等しい押書がみられる。…

【押書】より

…平安後期から戦国時代にかけてみられる中世に特有の文書形式であるが,その性格はほとんど不明。《沙汰未練書》には〈押書トハ未成事兼入置状也〉とある。用例としては売買貸借契約に伴う押書,あるいは請文に等しい押書がみられる。…

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