指定感染症(読み)していかんせんしょう

知恵蔵の解説

指定感染症

感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)の一類~三類感染症に分類されていない感染症のうち、一類~三類に相当する対応の必要が生じたものについて、1年間を期限に政令で指定する感染症のこと。感染症法の段階別分類には五類まであり、感染力や毒性の強さなどから公衆衛生への影響が大きい順に一類から分類し、行政や医療機関などでの対応の仕方を定めている。
指定感染症は、すでに知られた感染症でウイルスの変異などが起こり、感染力が高まったり毒性が強まったりした場合を想定しており、公衆衛生の必要に応じて患者を指定の医療機関に入院させて隔離したり、就業を制限したりといった措置をとるために政令で定められる。新しい感染症については、感染症法の「新感染症」の分類にもとづいて対応する。指定の医療機関とは、医療法に基づく感染症病床の基準を満たしていることや、院内での検査体制、感染症専門医の配置などを考慮して、厚生労働大臣や都道府県知事があらかじめ指定したものをいう。2013年4月現在で、一類・二類・新感染症に対応できる特定感染症指定医療機関が全国に3カ所8床、一類・二類に対応する第一種感染症指定医療機関が41施設79床となっている。
強制的な入院による隔離や就業制限は、医療における自己決定権や、人身の自由を縛るものであるため、指定に当たっては厚生労働大臣が厚生科学審議会感染症部会の意見を聞いた上で、政令を発する。
最近では、13年4月26日に鳥インフルエンザA(H7N9)を指定感染症とする政令が公布された。これは、中国で死亡者、重症者が相次いで報告され、台湾でも死亡者が確認されたことによる。なお、06年にもインフルエンザ(H5N1)が指定感染症となり、その後二類感染症に分類された。

(石川れい子  ライター / 2013年)

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デジタル大辞泉の解説

してい‐かんせんしょう〔‐カンセンシヤウ〕【指定感染症】

感染症予防法による感染症の分類の一。すでに知られている感染症(感染症予防法の1類、2類、3類感染症等を除く)で、国民の健康に重大な影響があるとして、政府が政令で指定する感染症。1類~3類感染症に準じて対応する。

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大辞林 第三版の解説

していかんせんしょう【指定感染症】

感染症予防法で定められる感染症類型の一。一~三類感染症(感染力や危険度で分類)以外の既知の感染症で、緊急の対応の必要があると判断された場合政令で指定し、1年限定で一~三類感染症に準じた対応を行うとされる感染症。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

指定感染症
していかんせんしょう

感染症予防・医療法(感染症法)に規定された感染症の分類の一つ。日本における感染症対策の基盤となる本法では、罹患(りかん)した際の重篤性や感染力の強さなどに応じて、主要な感染症を1類~5類(1類がもっとも危険性が高い)に分類しているが、指定感染症とは、このうち1類~3類に分類されていない既知の感染症で、1類~3類感染症と同等の措置を講じなければ、国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして、別途政令で指定されるものをいう。既知の感染症で病原体に変異などが起こり、ヒトへの感染力や毒性が強化されたりするなど危険性が高まった場合に、迅速・的確に公衆衛生の必要に応じた措置を講じることができるよう、延長を含め最大2年間に限定して政令で定められる。
 近年では、2013年(平成25)4月に鳥インフルエンザ(H7N9)を指定感染症とする政令が公布された(その後、鳥インフルエンザ(H7N9)は2類感染症に指定されている)。
 なお、指定感染症が既知の感染症を対象に指定されるのに対し、未知の(新しい)感染症については同法の「新感染症」に分類されて対応が行われる。[編集部]

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