指導主事(読み)しどうしゅじ

精選版 日本国語大辞典 「指導主事」の意味・読み・例文・類語

しどう‐しゅじ シダウ‥【指導主事】

〘名〙 都道府県、および市町村教育委員会事務局に置かれる専門職員。その地域にある公立学校教員に、専門的な指導助言を与える。〔地方教育行政の組織及び運営に関する法律(1956)〕

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デジタル大辞泉 「指導主事」の意味・読み・例文・類語

しどう‐しゅじ〔シダウ‐〕【指導主事】

教育委員会事務局に置かれる専門職員。教員に対して専門的な助言と指導を与えることを任務とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「指導主事」の意味・わかりやすい解説

指導主事 (しどうしゅじ)

教育委員会に置かれる職員で,学校教育課程学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する仕事に従事する者をいう。なお,これには,教員身分のままで指導主事の職務を行う者もあり,これを〈あて指導主事〉という(教育委員会に勤務するが,その事務局職員ではない)。指導主事は,第2次大戦前のこれに相当する視学制度を否定して設けられたものである。すなわち,戦前の〈視学〉が教育内容と教育人事・身分を権力的に監督したのに対し,指導主事は〈教員に助言と指導を与える。但し命令及び監督をしてはならない〉(旧教育委員会法,1948公布)とされ,教員に対する非権力的な助言指導者とされた。そのうえ,当初は資格制(教育職員免許法に基づく指導主事免許状所有者を任用する制度)もとり入れられていた。ところが,この資格制が1954年に廃止され,続く56年のいわゆる〈地方教育行政法〉(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)により,上記の職務規定もなくなった。そのうえ,〈上司の命を受け〉仕事に従事するとの文言が追加され,指揮監督の関係に組みこまれることとなった。しかし,指導主事の仕事は学校教育(員)の自主性や専門性に対するものであるから,非権力的で専門的なものにとどまるべきであり,〈上司の命〉をその身分上ならともかく,その職務活動に及ぼすことには批判的な見解が強い。
教育委員会
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「指導主事」の意味・わかりやすい解説

指導主事
しどうしゅじ

学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する専門的教育職員。教育委員会の事務局に置かれている。市町村では置いていないことが多いが、都道府県の場合には必置となっている。一般職の地方公務員の身分を有する者と、公立学校教員の身分のまま指導主事の職務を行う者(充(あ)て指導主事)がある(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第19条)。

 指導主事制度は第二次世界大戦前の視学制度に対する批判と反省を踏まえて戦後新たに設けられた。指導主事は監督的、統制的な視学と異なり、教員の人事に関与せず、もっぱら教員の相談相手として専門的な助言と指導を行うことになった。したがって教育委員会法(1948年制定)は「命令及び監督をしてはならない」と明記していた。しかし1956年(昭和31)に制定された「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」ではこの文言はなくなり、しかも「上司の命を受け」という文言が加わった。また、当初は専門的指導助言の質を確保するために指導主事免許状が設けられ、その後、任用資格制度がとられたが、今日では明確な資格制度はない。56年以降統制的性格が強まってきたといわれるが、指導主事の本来の役割は、教員に対する非権力的な専門的指導助言にあることは変わりない。

[高橋寛人]

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百科事典マイペディア 「指導主事」の意味・わかりやすい解説

指導主事【しどうしゅじ】

教育委員会所属の教育専門職の一つ。校長や教師に助言や指導を与え,教育活動を効果的にするのがその役割。教育長の推薦により教育委員会が任命し,大学以外の公立学校の教員をこれに当てることができる。教育公務員特例法(1949年)の適用を受ける。旧制の視学と異なり,行政上の命令・監督権をもたないものとされていたが,教育委員会法改正(1956年)によりこの条項は削除された。第二次安倍内閣は2013年12月教育委員会法の全面改正案を国会に提出しており,今後指導主事の位置づけが変わる可能性がある。
→関連項目教育公務員

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「指導主事」の意味・わかりやすい解説

指導主事
しどうしゅじ

教育委員会の事務局におかれる職員の一つ。上司の命を受けて学校の教育課程,学習指導,その他学校教育に関する専門的な指導事務に従事する。教育長の推薦により教育委員会が任命するが,教育に関する識見,職務についての教養と経験をもたなければならないとされ,大学以外の公立学校教員が任命されることが多い。第2次世界大戦前の視学に相当する。

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