デジタル大辞泉
「但し」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ただ‐し【但し】
- ( 副詞「ただ」に助詞「し」のついてできたもの )
- [ 1 ] 〘 副詞 〙 「ただ」の意を強めたもの。多く、漢文訓読語として用いられた。
- [初出の実例]「愛するに偏党無きこと、羅怙羅をしたまふが如くいますものならば、唯し願ふ世尊、我に一の願を施したまへ」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一)
- 「さらに焼香・礼拝・念仏・修懺・看経をもちゐず、ただし打坐して身心脱落することをえよ」(出典:正法眼蔵(1231‐53)弁道話)
- [ 2 ] 〘 接続詞 〙
- ① 先行の事柄について補説するとき用いる。
- (イ) 先行する事柄に対して、逆接的に、それに付随する条件または、例外などを追補する場合。そうでありながら。しかし。→ただし書き。
- [初出の実例]「仰の事はいともたふとし。ただし此の玉たはやすくえ取らじを」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「十月、諸社の行幸、その例も多し。ただし、多くは不吉の例なり」(出典:徒然草(1331頃)二〇二)
- (ロ) 先行の事柄に対し、推量や疑問を加えつつ補説する場合。ひょっとすると。もしかしたら。
- [初出の実例]「すべてその儀あるまじ。但(タダシ)祇王があるをはばかるか」(出典:高野本平家(13C前)一)
- 「今度はまたあちらをむかせられた。さらばあちらへ参てうたはふ。但し、御耳が遠う成らせられたかしらぬ」(出典:虎寛本狂言・二千石(室町末‐近世初))
- ② 先行の事柄に関連して、話題をかえたり、一つの事をとりあげたりするとき用いる。ところで。さて。
- [初出の実例]「かかれば、このふたところの御ありさま、かくのごとし。ただし、殿の御まへは卅より関白せさせたまひて」(出典:大鏡(12C前)五)
- ③ どちらとも判断しかねて、並列あるいは対立する事柄をあげる時用いる。または。それとも。ただしは。
- [初出の実例]「酒が飲れぬか、せめてひとり成とも出ぬか、ただしかへれといふ事か」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)五)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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