掃く(読み)ハク

デジタル大辞泉 「掃く」の意味・読み・例文・類語

は・く【掃く/刷く】

[動カ五(四)]
ほうきごみを払い除く。そうじをする。「部屋を―・く」
(刷く)はけや筆などでさっと塗る。「紅を―・く」
蚕の掃き立てをする。
遊里で、相手を決めず多数遊女関係を持つ。
「お客に一度でも―・かれたことはないわいな」〈伎・伊勢音頭
[可能]はける
[類語](1掃き出す掃き清める・掃き散らす・掃き捨てる/(2塗る塗布塗抹塗りなす付ける塗り付ける塗りたくる塗擦する塗り立てる塗り潰す塗り込める塗り替える擦り付ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掃く」の意味・読み・例文・類語

は・く【掃・刷】

  1. 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
  2. はらい除く。箒(ほうき)塵芥を寄せ集めすてる。掃除する。
    1. [初出の実例]「梳(くし)も見じ屋中(やぬち)も波可(ハカ)じ草枕旅行く君をいはふと思(も)ひて」(出典:万葉集(8C後)一九・四二六三)
    2. 「庭はくとて、箒をもちて」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
  3. 仲間や、ある場所などから除き去る。抹消する。すてる。また、殺す。
    1. [初出の実例]「おまへのは御成めへの、見せ物を見るやうにはかれやした」(出典:洒落本・美地の蛎殻(1779))
  4. ( 「刷」とも書く ) 刷毛(はけ)で払うように塗る。塗りつける。
    1. [初出の実例]「薄らかに払(ハ)くに漆を以てす可し」(出典:南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)二)
  5. 養蚕で、蚕の掃き立てをする。孵化したばかりの蚕を蚕卵紙から取って蚕座へ移す。
  6. ( 箒で女を掃く意 ) 遊里で、芸娼妓をあれこれ買い散らす。相手を一人と定めず、手あたり次第に関係を結ぶ。
    1. [初出の実例]「お客に一度でもはかれた事はないわいな」(出典:歌舞伎・伊勢音頭恋寝刃(1796)三幕)

は‐は・く【掃】

  1. ( 「はわく」の時代も )
  2. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 ほうきで掃く。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「朝は門をははく箒に音ありて情をのこし」(出典:浮世草子・近代艷隠者(1686)一)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「掃 キヤ クサヲ ハワケ ソフヂ スルノテ ヒトノ ココロガ シレルト云」(出典:交隣須知(18C中か)三)

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