擦る(読み)スル

デジタル大辞泉 「擦る」の意味・読み・例文・類語

す・る【擦る/摩る/磨る】

[動ラ五(四)]
物に、他の物を強く触れ合わせて動かす。こする。「マッチを―・る」
物の表面に他の物を押し付けて繰り返し動かす。「やすりで―・って仕上げる」「墨を―・る」
賭事かけごとなどで、金を使ってなくす。費やす。すり減らす。「競馬財産を―・った」「元も子も―・ってしまう」
(「擂る」と書く)すり鉢などに入れて、触れ合わせて細かく砕く。「味噌を―・る」
[可能]すれる
[動ラ下二]すれる」の文語形
[類語](1)(2さする撫でるこする撫で下ろす撫で上げる逆撫で愛撫撫ぜるする撫で回す撫で付ける塗る触れる/(3消費費消消耗消尽消却費やす使う入れ揚げる札片さつびらを切る金に飽かす金に糸目をつけない

こす・る【擦る】

[動ラ五(四)]
物を他の物に強く押し当てたままで動かす。また、そのように繰り返し続けて動かす。「目を―・る」「あかを―・る」「電柱車体を―・る」
遠回しにいやみや皮肉を言う。あてこする。
如何どんなに―・られても、左程にも感じなかったが」〈二葉亭其面影
[可能]こすれる
[類語]さする撫でる擦る撫で下ろす撫で上げる逆撫で愛撫撫ぜるする撫で回す撫で付ける

なす・る【擦る】

[動ラ五(四)]
物の表面に他の物をつけようとして、軽くこする。「顔に墨を―・る」
責任・罪などを他の人に負わせる。転嫁する。「失敗の責任を部下に―・る」
[類語]塗る掃く付ける塗り付ける塗りたくる塗布する塗抹する塗擦する塗装する塗り立てる塗り潰す塗り込める塗り替える擦り付ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「擦る」の意味・読み・例文・類語

こす・る【擦】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 物と物とを押し当てたまま、何度も動かす。
    1. [初出の実例]「さて馬は、風沙の上にまるび臥して、身をこすりて、鬣をふるい」(出典:四河入海(17C前)二五)
  3. 他の事にかこつけていやみや皮肉を言う。あてこする。
    1. [初出の実例]「どうるいが有ると母おやこすられる」(出典:雑俳・柳多留‐二三(1789))
  4. 使ってなくす。費やす。する。
    1. [初出の実例]「かけがへのねへ大楮幣(おほさつ)をとうとう一枚こすらせられたぜ」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初)
  5. 相場で、思惑外れで損失ばかり続く意をいう語。〔取引所用語字彙(1917)〕

擦るの補助注記

語の成り立ちについてははっきりしないが、「こすり(擦)」の動詞化したもの、あるいは「する(擦)」に接頭語「こ」の付いたものとする説などがある。また、については、「耳をこする」の略とする説がある。


なす・る【擦】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 物の表面に当ててこする。すりつける。こすりつける。
    1. [初出の実例]「頭へ青黛を泥(ナス)って、ちと否身たっぷりの拵へ」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)
  3. 自分の責任や過失などを他の人に負わせる。転嫁する。なすりつける。
    1. [初出の実例]「屁ひり虫人になすった面つきぞ」(出典:俳諧・七番日記‐文化一二年(1815)七月)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ゲリラ豪雨

突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...

ゲリラ豪雨の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android