掛合う(読み)カケアウ

デジタル大辞泉 「掛合う」の意味・読み・例文・類語

かけ‐あ・う〔‐あふ〕【掛(け)合う/懸(け)合う】

[動ワ五(ハ四)]
互いに掛ける。「声を―・う」
要求について先方と話しあう。交渉する。談判する。「家賃について大家と―・う」
匹敵する。照応する。
「猫の一年人間十年に―・う」〈漱石吾輩は猫である
[類語]話す語らう語り合う談ずる懇談する面談するはか持ち掛ける談判交渉折衝渉外外交駆け引き直談判直談膝詰め談判談じ込むねじ込む

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精選版 日本国語大辞典 「掛合う」の意味・読み・例文・類語

かけ‐あ・う‥あふ【掛合】

  1. ( 間に y の音がはいって「かけやう」と読まれる場合も多い )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. 二つの物がつり合う。調和する。また、匹敵する。
      1. [初出の実例]「すべてこの句にかけあひたる秀逸は、十句に一句も有りがたし」(出典:連理秘抄(1349))
      2. 「Caqeauanu(カケアワヌ) アイテヂャ」(出典日葡辞書(1603‐04))
    2. かかわり合う。関係する。参加する。
      1. [初出の実例]「黄河の水を引て運河とす。これにかけあふ役人、〈略〉十二万人余といふ」(出典:随筆・孔雀楼筆記(1768)三)
    3. 要求、要望などを持って相談に行く。談判する。交渉する。
      1. [初出の実例]「汝が生国、志賀の植野へもかけ合た上首ぶち放す」(出典:浄瑠璃・志賀の敵討(1776)五)
      2. 「重兵衛に懸合(カケアッ)て、つがふしてつとめをひかせるから」(出典:人情本・仮名文章娘節用(1831‐34)下)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. 物事をかわるがわる行なう。
      1. [初出の実例]「二十八日伊賀へ上着申候。同姓よろこび、旧友ども日々かけ合候而、今月十六日迄伊賀に逗留致候而」(出典:杉風宛芭蕉書簡‐元祿七年(1694)閏五月二一日)
    2. 互いに対抗し、張り合う。競い合う。
      1. [初出の実例]「まゆみをやをらとりて、ひしひしとふたりかけあふ所を射たれば」(出典:御伽草子・化物草子(日本絵巻物全集所収)(室町末))
    3. 互いに掛ける。
      1. [初出の実例]「又かくる。それからひたとかけやひて、後にはすきくわをすて、水かけやいをして」(出典:虎明本狂言・水掛聟(室町末‐近世初))
      2. 「少しも迷惑をかけ合はないのである」(出典:侏儒の言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉地上楽園)

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