百科事典マイペディア 「掟書」の意味・わかりやすい解説
掟書【おきてがき】
→関連項目伊賀惣国一揆
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公布された法度(はつと)書の一形式。中世後期より用いられたが,元来,みずからの心構え,取極め,しきたり,処置などの意義のある掟が,在地領主,土豪等が下剋上の結果,法制発布の立場になっても用いたため,普遍化して,順守すべき法令の意味を持つようになったと考えられる。初めに掟(掟事,掟旨),定,定申などの文言が記され,法令の個条が事書で記され,終りに違反者への警告の文言,年月日,取極めたもの一同の署判,奉行人の署判,あるいは絶対者の捺印,法令の対象となるものが充所に記されるのが一般的である。中には豊臣秀吉のものにあるように全国を対象とし,充所のないものもある。定書との差は,〈掟の心のあさきを申候也〉(《和簡礼経》)とあるが,判然としない。
執筆者:加藤 秀幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中世末期に盛んに用いられた公布法の形式、称呼の一つ。とくに大名や在地領主などが多く用い、また同時期の惣村(そうそん)内部の相互規制・規定を称する場合もある。置目(おきめ)、定(さだめ)と称されるものも同様の意味をもつ。これらは鎌倉期においては特定の集団・階層内部の相互規制としての意味をもっていたが、室町期以降、法の発布が幕府、荘園(しょうえん)領主にとどまらず大名や在地領主によっても行われるようになると、彼らはそれまでの掟書を相互規制の枠を超えた公布法の形式として用いるに至った。これは彼らが掟書を手近な形式と考えた結果によるものであろう。さらに、戦国期から近世への移行過程でこれらが一般化していき、法令と同一の意味とされるに至った。
[久保田昌希]
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