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擬娩 ぎべんcouvade

翻訳|couvade

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

擬娩
ぎべん
couvade

男子産褥ともいう。出産に際し,妻の産褥時にとる行動と同様のことを夫がまねる習俗フランス語 couver (孵化する) に由来する語で,元来 E.タイラーが 1865年に著書で用いた。南アジア,インドネシアメラネシア,インド,北アメリカの平原地帯,南アメリカなどの民族の間に行われる。1世紀にはコルシカ島キプロス,スペインなどでも行われたといわれ,19世紀にはオセアニアニコバル諸島モルッカ諸島,ヨーロッパのピレネー山脈バスク族にもみられた。これは夫が養生することにより,分娩成育の無事を期待し,また妻の生理的苦痛を分有することにより,自分が生れてくる子供の父親であることを主張する意味がある。さらに,分娩に支障をもたらす悪霊を妻から自分に振替えることにより,安産を保障するという呪術的効果も期待されている。日本でも「男のつわり」といって,妻のつわりのときに夫がつわりの状態を呈することがあるが,慣習としての娩とは関係がない。

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百科事典マイペディアの解説

擬娩【ぎべん】

未開社会の一部にみられる出産時の習俗。クーバードcouvadeという。E.B.タイラーが命名した。妻の出産時に夫が妻に代わって床に入り,ある種の食物を差し控えるなど,産褥(さんじょく)にある女性のような行動をする。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎべん【擬娩 couvade】

妻の出産の前後に夫が妻同様,あるいはより誇張された形で妻の出産の模倣をする習慣。クーバードともいう。単に床につき外出しないだけの場合もあれば,妊産婦と同様なタブーを守り,陣痛から胎児の出産のまねまでする場合もある。周囲の人びとも,産見舞にかけつけたり,助産婦が世話をしたり大騒ぎを演じる。その一方では妻はひっそりと出産をし,すぐ労働に就くことが多い。カリブ海島々やアマゾン川流域の諸部族で見られる典型的な擬娩のほかに,日本でも妻の出産中に重い物(石臼など)をあちこち持ち運んだり,妻の妊娠中,妻の代りに〈つわり〉になるなどの風習は一種の擬娩と考えられる。

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大辞林 第三版の解説

ぎべん【擬娩】

妻の出産時、夫が禁忌を妻とともに守ったり、分娩の苦しみを象徴的に演じたりすること。北米・中南米・オセアニア・インドなどで行われる。クーバード。

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