支笏湖(読み)シコツコ

デジタル大辞泉 「支笏湖」の意味・読み・例文・類語

しこつ‐こ【支笏湖】

北海道千歳ちとせ市西部にあるカルデラ湖田沢湖に次ぐ日本第2の深度をもち、冬に結氷しない。面積78.4平方キロメートル。水深360.1メートル。ここの水が伏流水となり、ナイベツ湧水を形成している。「支笏」はアイヌ語「シ‐コツ(大きなくぼみ)」という千歳川古名から。

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精選版 日本国語大辞典 「支笏湖」の意味・読み・例文・類語

しこつ‐こ【支笏湖】

  1. 北海道千歳市西部にあるカルデラ湖。日本最北の不凍湖で、支笏洞爺国立公園の一中心。ヒメマスなどが釣れる。最大水深は三六〇メートルで日本第二位。面積七八・四平方キロメートル。

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日本歴史地名大系 「支笏湖」の解説

支笏湖
しこつこ

千歳市西端部にあるカルデラ湖。周囲四〇キロ、面積七七・三平方キロ。水面の標高二四八メートル、最大水深三六〇・一メートルで湖底は海面下。透明度二五メートルの貧栄養湖。面積はサロマ湖屈斜路くつしやろ湖に次ぎ道内三位で、全国では八位。水深は秋田県の田沢たざわ(最深四二三メートル)に次ぐ。最北端の不凍湖で、支笏洞爺しこつとうや国立公園の東部を占める。更新世末(約三万年前)に大量の軽石流噴出を伴う支笏火山が形成され、直後に深い陥没が生じてカルデラが出現、湛水して湖となった。のちに外輪山南東部に風不死ふつぷし(一一〇二・五メートル)樽前たるまえ(一〇四一メートル)、北東部に恵庭えにわ(一三一九・七メートル)が噴出したため、湖形は繭形を呈する。

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改訂新版 世界大百科事典 「支笏湖」の意味・わかりやすい解説

支笏湖 (しこつこ)

北海道南西部,千歳市の西部にあるカルデラ湖。面積77.3km2,周囲40km,サロマ湖,屈斜路湖に次ぎ北海道で3番目に大きい湖である。最大深度360m,平均深度255mで,いずれも田沢湖に次ぎ日本で2番目に深い湖であって,水量は琵琶湖に匹敵する。透明度25mの貧栄養湖で,湖面標高は248m,平年の冬には結氷せず,不凍湖の北限となっている。新第三系の火山岩からなる高原状の地形が,洪積世末の噴火により大量の溶結凝灰岩を噴出して陥没を生じた直径12kmの円形のカルデラに湛水したもので,その後南壁に風不死(ふつぷし)岳,ついで北壁に恵庭(えにわ)岳が生じ,現在のような南北がくびれた繭形のカルデラ湖となった。東部,西部ではカルデラ壁が明瞭で,東部の紋別岳付近では,400mを超える急崖をつくっている。湖面下の地形もカルデラ壁の急斜面がそのまま続いている。流入河川のない東岸部では,湖岸から700mで一気に355mの深度に達する。湖底中央部はきわめて平たんで,水深355m以上の部分が湖の面積の1/3以上を占める。西岸で美笛川,オコタンペ川などが流入し,東岸から千歳川が流下する。

 湖面にせまる火山体とカルデラ壁は広葉または針広混交の天然林に包まれ,周辺は支笏洞爺国立公園の特別地域に指定されている。千歳川の流出口に近い湖畔にはホテルや遊覧船の発着場があり,支笏観光の中心地をなしている。南東岸のモラップには,道内最大規模のキャンプ場,国民休暇村,野鳥観察地があり,恵庭岳山麓にはポロピナイのキャンプ場,丸駒(まるこま)温泉(硫黄泉,58℃),オコタン温泉(純食塩泉,19~22℃)があり,西岸の美笛にはキャンプ場がある。1894年阿寒湖から移されたヒメマスの人工孵化(ふか)が行われていて,6~8月の解禁期にはヒメマス釣りでにぎわう。湖畔~ポロピナイ間の湖岸を通る支笏湖道路は千歳と札幌を結ぶ迂回路となっており,恵庭岳の湖岸部を除けば,ほぼ湖岸を走る一周道路がある。なお恵庭岳西麓,支笏湖の北東岸から3kmの位置に堰止(せきとめ)湖オコタンペ湖がある。湖面標高は支笏湖より約300m高く,西側一帯は針広混交の原生林で特別保護地区に指定されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「支笏湖」の意味・わかりやすい解説

支笏湖
しこつこ

北海道南西部,千歳市西部にあるカルデラ湖。面積 78.4km2,周囲約 40km,最大水深約 360m,湖面標高約 250mで,日本最北の不凍湖。湖面全域にわたる結氷の記録は,1913年から数回にとどまる。第四紀更新世末期に円形カルデラが陥没して形成されたが,完新世になってから風不死岳(1103m),恵庭岳(1320m),樽前山(1041m)の噴出により,繭形に変形した。石狩川の支流千歳川が流出する。原生のアメマス,イワナが生息するほか,ヒメマスが養殖されている。湖畔には丸駒温泉,モラップ,ポロピナイ,美笛(びふえ)などのキャンプ場があり,支笏洞爺国立公園の一部をなす。1972年の札幌オリンピック冬季競技大会を機に,道路の新設,改良が進み,札幌,千歳,苫小牧からの定期バスがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「支笏湖」の意味・わかりやすい解説

支笏湖
しこつこ

北海道南西部、千歳市(ちとせし)西部にある標式的カルデラ湖。周囲40キロメートル、面積77.3平方キロメートル、水面標高248メートル、最深部360.1メートルで国内第二の深さをもち、冬も結氷しない。約3万年前のビュルム氷期に大火山活動があり、その軽石流は札幌市南部、馬追(うまおい)丘陵東部にまで及んでいる。この溶結凝灰岩の噴出により、円形のカルデラができたが、その後、北部に恵庭岳(えにわだけ)、対称地点に風不死岳(ふっぷしだけ)、樽前山(たるまえさん)が噴出し、繭型の湖岸となった。東側のカルデラ壁を破って千歳川が流出し、その出口付近に狭い平地があって、観光ホテル、土産物(みやげもの)店、バスセンターなどが立地するが、大部分はカルデラ壁が水面に迫って急崖(きゅうがい)をつくり、静寂な趣(おもむき)を残している。1972年(昭和47)の札幌オリンピックのとき、北壁の恵庭岳が滑降コースになり、湖岸を決勝点としたが、その後撤去された。北西側の湖岸に、支笏湖いとう、丸駒温泉(まるこまおんせん)、東岸に支笏湖温泉の各温泉が湧出(ゆうしゅつ)し、湖上遊覧船で湖畔の基地と結ぶほか、湖畔道路、支笏湖国道などが利用される。阿寒(あかん)湖から移入されたヒメマスの養殖が成功し、夏のチップ釣り(ヒメマスのアイヌ名)が名物になっている。

[奈良部理]


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百科事典マイペディア 「支笏湖」の意味・わかりやすい解説

支笏湖【しこつこ】

北海道南西部,千歳市西部にあるカルデラ湖で,支笏洞爺国立公園の一中心。標高248m,面積78.48km2。北西の恵庭岳,南東の風不死(ふっぷし)岳,樽前山などの火山が外輪山を形成する。最深は日本第2位の360.1mで湖底は海面下に達する。貧栄養湖であるが,阿寒湖から移植されたヒメマスが成育。
→関連項目恵庭岳尻別川樽前山千歳[市]

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事典 日本の地域遺産 「支笏湖」の解説

支笏湖

(北海道千歳市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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