散銭(読み)バラセン

デジタル大辞泉 「散銭」の意味・読み・例文・類語

ばら‐せん【散銭】

硬貨などの、こまかいぜに。小銭こぜにばら
[類語]小金小銭はした金目腐れ金涙金びた一文

さん‐せん【散銭】

神仏に上げるお金。賽銭さいせん
「―取り返して、下向して給はれ」〈浮・胸算用・五〉

ちり‐せん【散(り)銭】

あれこれとかかる少額金銭雑費。散りきん

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精選版 日本国語大辞典 「散銭」の意味・読み・例文・類語

さん‐せん【散銭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神仏の前に投じてささげる銭(ぜに)さいせん。
    1. [初出の実例]「廿一日至散銭者、三分一慶定分乗南乗真預申候」(出典:東寺百合文書‐ち・永享九年(1437)三月二〇日・廿一口評定引付)
    2. 「参詣の輩壱万八千十六人〈略〉散銭(サンセン)なげるがうれしく」(出典浮世草子好色五人女(1686)一)
  3. ぜにさしに貫かないばら銭。

ばら‐せん【散銭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. こまかいぜに。こぜに。はしたぜに。ばら。
    1. [初出の実例]「舞台上手へ寄せて帳場の格子、帳箱、上にばら銭(セン)」(出典:歌舞伎曾我梅菊念力弦(1818)四立)
  3. むだなことに使われる金。
    1. [初出の実例]「飯屋居酒屋が彼等のバラセン(散財する金銭)を掴む事の夥ただしきを」(出典:最暗黒之東京(1893)〈松原岩五郎〉三〇)

ちり‐せん【散銭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. あれこれと入用な雑費。散金(ちりきん)
  3. 劇場関係者や寄席芸人の間で、祝儀やこころづけをいう。

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普及版 字通 「散銭」の読み・字形・画数・意味

【散銭】さんせん

銭をまく。唐・韓仏骨を論ずる表〕焚頂燒指、百十群を爲し、解衣散錢、よりに至る。轉(うた)た相ひ倣效し、惟だ時に後(おく)るるをる。

字通「散」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「散銭」の意味・わかりやすい解説

散銭
さんせん

神供一つ。祓 (はらい) や参拝のときに神前で散らす散米 (さんまい,うちまき) が,近世に入って金銭に移行したもの。賽 (さい) 銭ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の散銭の言及

【賽銭】より

…祈願成就の報恩のしるしとして神仏へ捧げた銭(ぜに)。散銭(さんせん)ともいう。もっとも,神仏への報賽(かえりもうし)として奉るものはもともと銭とは限らない。…

※「散銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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