デジタル大辞泉
「斜め」の意味・読み・例文・類語
なのめ【▽斜め】
[形動ナリ]
1 傾斜しているさま。ななめ。〈新撰字鏡〉
2 ありふれているさま。平凡。普通。
「わが娘は―ならむ人に見せむは惜しげなるさまを」〈源・東屋〉
3 いいかげんであるさま。なおざり。
「世を―に書き流したることばのにくきこそ」〈枕・二六二〉
4 (中世以降「なのめに」の形で)ひととおりでないさま。大いに。なのめならず。
「大将―に喜うで三杯ほし給ひ」〈虎明狂・二千石〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ななめ【斜・傾】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「なのめ」の変化したもの )
- ① 傾いているさま。垂直・水平でないさま。はす。なのめ。
- [初出の実例]「錫杖は斜(ナナメ)に陜(わきはさ)むて、進止安祥にせよ」(出典:南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一)
- 「狭い露地を、体を斜(ナナメ)にして通らなくてはならない」(出典:雁(1911‐13)〈森鴎外〉四)
- ② 日月が中天を過ぎたこと。
- [初出の実例]「日脚已斜」(出典:玉葉和歌集‐文治三年(1187)五月二四日)
- 「日も斜(ナナメ)なれば」(出典:読本・雨月物語(1776)青頭巾)
- ③ 時刻などが半ばを過ぎて終わりに近いこと。特に、夕方の刻についていうか。さがり。
- [初出の実例]「申斜帰洛」(出典:兵範記‐保延七年(1141)三月九日)
- ④ 普通であるさま。また、不十分であるさま。なのめ。→ななめ(斜)ならず。
- ⑤ ( 「ななめに」の形で、「ななめならず」と同意に用いる ) 並み一通りでないさま。なのめ。
- [初出の実例]「子共もななめに悦ふで」(出典:幸若・信太(室町末‐近世初))
- ⑥ 普通でなく、わるいさま。
- [初出の実例]「日下さん、なんだか御機嫌斜めのようね」(出典:胸より胸に(1950‐51)〈高見順〉六)
斜めの語誌
( 1 )「なのめ」より遅れて、平安後期になって生じた語。当初は主に漢文訓読文に用いられたが、中世になって「なのめ」が勢力を失うに伴って「なのめ」の表わしていた意味・用法を包含し優勢となった。
( 2 )「日葡辞書」には両形の見出しがあるが、「Nanomena(ナノメナ)」の項には「Nanamena(ナナメナ)と言う方がまさる」との記述がある。ただし程度を表わす④⑤⑥の用法は現代語では「御機嫌ななめ」といった慣用句以外すたれてしまった。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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