(読み)シャ

デジタル大辞泉 「斜」の意味・読み・例文・類語

しゃ【斜】

傾いていること。水平・垂直でないこと。ななめ。はす。
[類語]斜めはす斜交はすか斜掛はすか筋交すじか筋違いなぞえ袈裟けさ懸け斜面筋向かい

はす【斜】

ななめ。はすかい。「道をに横切る」
[類語]斜め斜面はすかい筋向かい斜掛はすか筋交すじか筋違いなぞえ袈裟けさ懸けしゃ

しゃ【斜】[漢字項目]

常用漢字] [音]シャ(漢) [訓]ななめ はす
傾いている。ななめ。「斜影斜光斜線斜面斜陽傾斜
難読斜交はすかい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「斜」の意味・読み・例文・類語

なのめ【斜】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙
  2. 傾いているさま。山や丘などがなだらかに傾斜しているさま。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「山川邐迤(りい)となのめにして土地沃壌なり」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
  3. ありふれているさま。平凡なさま。あたり前であるさま。普通。
    1. [初出の実例]「世の末、なのめに、はかなげにやはおはする」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  4. ( 特に、普通でだめだという気持をこめて ) すぐれたところがなく、不十分なさま。たいしたことのないさま。
    1. [初出の実例]「なのめにかたほなるをだに、人の親はいかが思ふめる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  5. りいっぺんで、いいかげんなさま。全力を挙げて当たらないさま。
    1. [初出の実例]「世をなのめに書き流したることばのにくきこそ」(出典:枕草子(10C終)二六二)
  6. ( 「なのめに」の形で ) 「なのめならず」と同意に用いる。
    1. [初出の実例]「この左折りの烏帽子を折らせられ、君にご出仕ありし時、帝斜(なのめ)に思しめし」(出典:謡曲烏帽子折(1480頃))

斜の語誌

( 1 )仮名書きの確例は上代になく、中古以降に初めて確認されるが、「ななめ」より早くに見られる。
( 2 )本来、ゆるやかな傾斜を表わし、垂直でもない、水平でもない、どっちつかずの状態を表現するという。本居宣長が「源氏物語玉の小櫛‐八(上ノ若菜)」で「すべてなのめは俗にたいがいなるといふ意」と注しているように、平凡やありきたりというの意を表わすが、多くはその状態を否定的・消極的に評価・判断する気持が加わり、の意になる。
( 3 )「ななめ」が漢文訓読文に使われるのに対して、「なのめ」は和文に数多く見られる。中世以降は「なのめならず」の形がもっぱら行なわれ、単独の原義用法は忘れられていって、「ななめ」がこれに代わる。


はす【斜】

  1. 〘 名詞 〙 ななめ。すじかい。はすかい。
    1. [初出の実例]「文使むす子をはすにまねき出し」(出典:雑俳・柳多留‐四(1769))
    2. 「馬の顔を斜(ハス)に見た処で」(出典:画の悲み(1902)〈国木田独歩〉)

しゃ【斜】

  1. 〘 名詞 〙 垂直または水平に対して、かたむいていること。ななめ。はす。はすかい。すじかい。
    1. [初出の実例]「帯もなくほっそりと途方に暮れたやうに身を斜(シャ)にして立った葉子の姿は」(出典:或る女(1919)〈有島武郎〉前)

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普及版 字通 「斜」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] シャ・ヤ
[字訓] くむ・ななめ・まがる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は余(よ)。余に徐・除(じよ)の声がある。〔説文〕十四上に「抒(く)むなり」(段注本)とあり、斗を以てものをむことをいう。斗柄を斜めにして用いるので傾斜の意となり、また(邪)と通用することがある。

[訓義]
1. くむ、斗を傾けてくむ。
2. ななめ、かたむく。
3. まがる、ゆがむ、うねる。

[古辞書の訓]
名義抄〕斜 ナナメ・カタフク・ヨコサマ・ナナメナリ・ヨヨミ 〔字鏡集〕斜 ナナメ・カタフク・ナノメナリ・カタラフ・ヨヨミ・ヨコサマ・クダク・クムツル

[語系]
斜・zyaは同声。〔玉〕に「斜は正しからざるなり」とあり、と通用する。齟齬(そご)して正しくそろわないことをいう。は斜め裂きの布をいう。

[熟語]
斜影・斜映斜掩・斜街・斜漢・斜雁・斜眼・斜暉・斜気・斜・斜輝・斜斜景・斜傾斜髻斜睨・斜月・斜・斜視・斜日・斜酒・斜照・斜斜瞻・斜睇・斜灯・斜風・斜・斜封・斜陽
[下接語]
欹斜・雨斜・影斜・輝斜・髻斜・低斜・日斜・半斜

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