(読み)シャ

  • ▽斜
  • なのめ
  • はす
  • 漢字項目

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 垂直または水平に対して、かたむいていること。ななめ。はす。はすかい。すじかい。
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「帯もなくほっそりと途方に暮れたやうに身を斜(シャ)にして立った葉子の姿は」
〘形動〙
① 傾いているさま。山や丘などがなだらかに傾斜しているさま。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「山川邐迤(りい)となのめにして土地沃壌なり」
② ありふれているさま。平凡なさま。あたり前であるさま。普通。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「世の末、なのめに、はかなげにやはおはする」
③ (特に、普通でだめだという気持をこめて) すぐれたところがなく、不十分なさま。たいしたことのないさま。
※源氏(1001‐14頃)葵「なのめにかたほなるをだに、人の親はいかが思ふめる」
④ 通りいっぺんで、いいかげんなさま。全力を挙げて当たらないさま。
※枕(10C終)二六二「世をなのめに書き流したることばのにくきこそ」
⑤ (「なのめに」の形で) 「なのめならず」と同意に用いる。
※謡曲・烏帽子折(1480頃)「この左折りの烏帽子を折らせられ、君にご出仕ありし時、帝斜(なのめ)に思しめし」
[語誌](1)仮名書きの確例は上代になく、中古以降に初めて確認されるが、「ななめ」より早くに見られる。
(2)本来、ゆるやかな傾斜を表わし、垂直でもない、水平でもない、どっちつかずの状態を表現するという。本居宣長が「源氏物語玉の小櫛‐八(上ノ若菜)」で「すべてなのめは俗にたいがいなるといふ意」と注しているように、平凡やありきたりという②の意を表わすが、多くはその状態を否定的・消極的に評価・判断する気持が加わり、③④の意になる。
(3)「ななめ」が漢文訓読文に使われるのに対して、「なのめ」は和文に数多く見られる。中世以降は「なのめならず」の形がもっぱら行なわれ、単独の原義や用法は忘れられていって、「ななめ」がこれに代わる。
〘名〙 ななめ。すじかい。はすかい。
※雑俳・柳多留‐四(1769)「文使むす子をはすにまねき出し」
※画の悲み(1902)〈国木田独歩〉「馬の顔を斜(ハス)に見た処で」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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