薬師如来(やくしにょらい)の脇侍(きょうじ)で、月光菩薩と一対になる。日光はサンスクリット語スーリヤ・プラバSūrya-prabhaの訳。インドでは太陽神(スーリヤ)が古くベーダ時代から信仰されていたが、それが力を増してくるのは西方の思想の影響によるらしく、紀元前2世紀ごろから太陽神信仰の図像的表現が顕著になる。無量(むりょう)光仏、弥勒(みろく)菩薩、毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)、大日(だいにち)如来、日天もみな光と関係があり、日光菩薩もそうした思想背景のなかから生まれた。なお、Sūryaはラテン語sol、ギリシア語hēliosと同語源である。日本の彫像としては、東大寺法華(ほっけ)堂、薬師寺金堂の像が有名。類似の神格として密教の日天がある。
[定方 晟]
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薬師如来の脇侍(きょうじ)で,如来の左に配され右の月光菩薩に対する。名称は,太陽の光があらゆる闇を照らすように,輪廻の闇を照らして衆生(しゅじょう)を救済する徳をもつとされることに由来。多くは京都醍醐寺薬師堂の日光像のように蓮の上に日光をのせ蓮華の茎をもつが,薬師寺金堂や法隆寺講堂の日光像のように持物のない例もある。胎蔵界曼荼羅(まんだら)では地蔵院の一尊とされ,左手に幢(どう)をもち,右手は手のひらを上むきにする。
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…薬師瑠璃光(るりこう)如来とも呼ばれる。薬師は菩薩時代に12の大願を立て(その中に自分の名を聞く者を不具や病気から救うという項目がある),仏となって東方の浄瑠璃世界の主となり,日光菩薩,月光菩薩(日光・月光)を従えている。死の病人を救うために薬師如来に祈る供養法(続命法)が行われ,また薬師経を唱える信者を十二神将が守護するとも説かれる。…
※「日光菩薩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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