1965年(昭和40)6月22日に署名され、12月18日に批准書が交換されて発効した「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」。1943年のカイロ宣言およびそれを確認した45年のポツダム宣言によって、連合国は第二次世界大戦後の朝鮮の独立を約束していたが、51年のサンフランシスコ講和条約でわが国もこれを承認し、日本と朝鮮の関係の処理は両国の合意にゆだねられることになった。「朝鮮」には、すでに韓国(大韓民国)と北朝鮮が成立していたが、日本と「朝鮮」の関係の正常化はもっぱら「日韓交渉」として行われた。51年9月、連合国最高司令部は在日朝鮮人の地位に関する両国の交渉を促したが、これを機として翌年2月に第一次会談が開かれ、65年の妥結に至るまで、実に15年もの間、中断と再開を繰り返した。この会談はしばしば実質は日米韓三国交渉であったといわれるほど、米国の調停工作が公然と行われた。
条約のおもな内容は次のとおりである。
(1)両国間に外交・領事関係が開設され、大使級の外交使節が交換される(1条)。
(2)1910年8月22日以前に日本と大韓帝国の間で結ばれた条約等はすべて「もはや無効である」ことが確認される(2条)。
(3)韓国は国連総会決議195号に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される(3条)。
(4)両国は相互の関係で国連憲章の原則を指針とする(4条)。
(5)貿易、海運、その他の通商関係に関する条約等の締結のため、速やかに交渉を開始する(5条・6条)。
日韓基本条約とともに、両国間では「漁業協定」、「財産および請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定」、「在日韓国国民の法的地位及び待遇に関する協定」、「文化財及び文化協力に関する協定」、「紛争解決に関する交換公文」など多くの合意が署名され、両国の関係は「正常化」された。しかし日韓両国ともに国内では反対運動が強く、韓国では与党だけで、日本では自民、民社両党の賛成だけで批准案の承認が行われた。条約の内容の不備と解釈の不統一、南北分断の固定化、対韓経済侵略、軍事同盟志向の強化などが批判された。院外では、1965年11月9日の統一行動には約24万人が参加し、反対運動が高揚した。韓国における反対運動はさらに激しく、8月23日には学生デモ鎮圧のために軍隊が出動し、26日には衛戍(えいじゅ)令を発動したほどであった。
[石本泰雄]
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(高橋進 東京大学大学院法学政治学研究科教授 / 2007年)
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1965年(昭和40)6月22日,第1次佐藤栄作内閣のもとで締結された「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」。前文と本文7条からなり,(1)外交関係の再開,(2)韓国併合条約の無効確認,(3)韓国政府を朝鮮にある唯一の合法政府とする,(4)国連憲章の遵守,(5)通商関係の再開などを規定していた。このほかのおもな争点であった漁業権問題,対日賠償請求権・経済協力問題などについても同時に別途協定が結ばれた。
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第二次世界大戦後長期にわたって国交を持たなかった日本と韓国は,7次に及ぶ交渉(日韓会談)の末,1965年6月に日韓基本条約に調印し,過去の植民地支配・被支配の関係を法律的に清算した。これと並行して,財産および請求権ならびに経済協力協定,漁業協定,在日韓国人の法的地位協定なども締結され,日韓関係が正常化された。その一方で,双方の国内で,強い反対運動が展開された。
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…1965年6月22日に日本と大韓民国の政府間で調印された日韓基本条約と,それに付随する一連の協定・外交公文の総称。これにより両国は国交を開くが,その後現出したいわゆる〈日韓癒着〉体制の基点をなしている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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